
第13話 御城内鐘楼堂の事
1、問 御入国の時は、御城内に鐘楼堂が有り、六時の鐘を突いたと、言い伝えられて
いるが、その通りであろうか。
1、答 筆者が聞いているのは、その通りである。
鐘楼堂が有った近い所は、昼夜共に、うるさく思われ、今後は、鐘を無用にし
て、太鼓にする事になった。
しかし、今迄、城中の鐘を聞き馴れている者達が、難儀したので
「町中で場所を見定めて鐘を突かせる様に。」
との事で、今の石町の事で有ったのか、
「町奉行衆の承諾で、鐘を突く堂を作り、出来たらその鐘を釣りたい。」
と伺えば、城中でも入用との事で、前の鐘をそのままにして置いて、新らし
いものを釣るとの事で、古来からの鐘は、城中に残った。
筆者が、若年の時は、鐘といっては、石町だけの様で有ったが、酉年の大火事
以後は、江戸の住宅が広まったので、方々で、鐘を突く様になった。