607シリーズでありながら、607シリーズ以上のグレード
1991年発売当時、定価138000円。1976年に発売されてからベストバイの常連だった607シリーズの15周年を記念して発売された限定生産品のプリメインアンプ。モスフェット採用の傑作!
パワー段にMOS FETを採用、このMOS FETの能力をアドバンスドα-Xバランス回路により発揮させ、繊細で力強い安定感の高い音質を実現。電源部には新規開発のパワートランスと電解コンデンサーを採用、パワートランスと電解コンデンサーからなる電源部を中心に置き、パワーユニットを左右対称に配置したことにより、アンプ本体を理想的な重量バランスにしています。そして、トーンなどのアクセサリー機能を通さず、通常の全てのライン入力信号をワンタッチでそのままパワーアンプに伝送し、ダイレクトな接続・増幅が可能なソースパワーダイレクトを搭載、ダイレクト入力によりワンランク上の音質が得られ、バランス入力端子も装備。
607シリーズの中では最高傑作!MOS FETを採用するとここまで変わってしまうのか?と驚かされました。このアンプにもパワーダイレクトがついていますが、他のα607iなどのパワーダイレクトを使ったときの印象とは全く違った音が出ます。パワーダイレクトを使わずに使うと、α607iなどと同じ傾向の、ヴォーカルやメイン楽器を中心に潤いのある余韻を楽しめるサウンドを上質にしたような音ですが、パワーダイレクトに切り替えると、NECのA−10シリーズや、A級アンプのような、芯の太い、実存感のあるサウンドに一変します。α907i
MOS Limitedに比べると低域は弱いですが、ヴォーカルを中心に聴く方や、年齢的にヘヴィな音はツライという方、またリスニング環境によって低音の振動は困る、という方には最高でしょう。私も若い頃はヘヴィな音楽を中心に聴いていましたが、最近は女性ヴォーカルをよく聴くので、このアンプは手放せません。全体的に考えるとα907i
MOS Limitedの方が上ですが、バケツで水をぶちまけたような、足の裏から伝わってくるような低音は、振動で家族から苦情がきますし、α707のような輪郭のハッキリした低音は、ボディブローのように体に効いてきて、個人的には、年齢的にも体にこたえます。このα607
MOS Premiumなら、スケールの大きい低音は無くても、サンスイらしいサウンドを中域を中心に楽しめるので、音楽のオイシイ部分を中心に聴けるという意味で最高です。また、最も魅力的なのは、パワーダイレクトで音質が劇的に変わるので、聴く音楽によって、ノーマルとパワーダイレクトを切り替えて、2種類の音質を楽しめるという点です。私は女性ヴォーカルや、ソウル、ポップスを聴くときはノーマルで、ブルースロック、ハードロックなど楽器の音をリアルに楽しみたい時は、パワーダイレクトにして楽しんでいます。
限定生産品ですが、中古オーディオショップなどで見つけることができます。他の607シリーズの製品と比べると価格も高めですが、ハッキリとグレードの違いが実感できる名機なので、5万円以内で入手できればお買い得だと思います。サンスイのアンプの中では比較的新しい製品なので、いつまでもサンスイサウンドを楽しみたいという、サンスイのファンの方には、絶対オススメのプリメインアンプです。限定生産品なので、なかなか見つからないのが難点ですが、気長に探せば見つかると思います。
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