魂を震わせる名機
1987年当時、定価260000万円。サンスイが創立40周年を記念して、回路、機構、素材など、アンプを構成する全ての要素を徹底的に追求し、ほとんど採算度外視で1000台限定で発売された伝説のプリメインアンプ。私個人としては、今まで使用したプリメインアンプの中では最高でした。サンスイ独自のα-Xバランス・サーキットに加え、パワー素子に、サンスイ仕様の特性のそろったMOS
FETを採用 などなど、サンスイのプリメインアンプの中でも最高峰の機種で、サンスイの技術とプライドの結晶と言える名器だと思います。
それぞれの楽器の音の輪郭はハッキリと粒立ちがよく、中高域の音も気持ちよく伸びてきます。音の粒立ちが良いだけではなく、全体的な音楽としてのバランス、潤いもあり、ヴォーカルの湿度も生々しく感じ取れます。バンドでドラムをやっていた経験から特に低音の音の作りには敏感なのですが、本物のギターアンプ、ベースアンプの前にいるときにしか味わえない低音を聴く事ができます。また地を這うような低音まで再現され、不思議と低音の音圧に中高域が汚されません。サンスイと言えばJBLとの相性が抜群です。できればJBL4312シリーズやJBL4318などで鳴らせばアンプの魅力を十分に味わえると思います。JBL以外ならビクターのSXシリーズ、特にアルニコを使用したSX−511やSX-700、SX-311などとの相性も最高でした。
以前、東北地方の山道をドライブしている時に、過疎地域の村に迷いこんでしまった事があるのですが、あまりにも美しく調和の取れた景色、空気にすっかり感極まって放心状態になってしまいました。このアンプをはじめて使用した時も、まったく同じ感覚に陥り、しばらく放心状態から立ち直れませんでした。今まで使っていたオーディオアンプとは次元が違ってた事もショックだったのですが、感動を超えているというか、魂まで震えるような気がしました。経済的な事情でやむを得ず手放しましたが、手放したのを1番後悔しています。経済的に立ち直ったら絶対に探したいと思っています。
発売当時の定価は260000円ですが、中古でコンディションの良いものでも10万円前後で購入できると思います。音のグレードは現在発売されているアンプなら50万円クラスの音なので、中古商品でも、かなりのお買い得機種だと思います。サンスイの名機として有名な907Fや907Xなどより比較的新しい機種なので、コンディションの良い中古商品も多いようです。
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