アルニコ採用のロングセラーモデル!
1988年発売、定価49000円(1本)。数あるビクターの名機の中でも、最もロングセラーとなったSX−500シリーズの初代機。この製品の後、SX−500U、SX−500SPIRIT、SX−500DOLCE、SX−500DOLCEU、SX−500DEまで、約20年間シリーズ化されてきた、ビクターの代名詞ともいえる傑作スピーカーです。各ユニットにアルニコを採用、さらに、バイワイアリング対応のスピーカー端子を採用、コンパクトなサイズながら、ハンパなアンプでは鳴らしきれないという実力を持つ名機。
サイズ的には、SX−311とほぼ同じなので、SX−3シリーズの、ちょっと上のグレードかな?という感覚で購入しましたが、予想外のグレードでした。ビクターらしい中高域の響きの良さに加えて、低音部のスケールの大きさには驚きました。ビクターのSX−511などの口径の大きなスピーカーと比べても、何ら遜色の無いスケールの大きな音が、このサイズのスピーカーから出てきてしまいます。パワーのあるアンプを使えば、このサイズからは考えられないほどの解像度の高い、パワフルな低音が得られます。中高域に関しては、よく伸びる響きの良い音で、ポップス、ヴォーカルを中心に音楽鑑賞する方には絶大な支持を得ている音質で、説明の必要も無いと思いますが、意外だったのは、ドラムの音質です。
バスドラム(ベースドラム)の音は、余分な残響を抑えるために、毛布やタオルなどを使ってミュートするのが主流で、アタック感の強調された、『ドッ』という締まりのある音質でレコーディングされていますが、ロック系、ジャズ系のドラマーの一部には、ミュートをせずに『ドオゥーン』という、大きく膨らむ音でレコーディングするドラマーもいます。この音が、なかなか、うまく出ないんですが、SX−500では、バスドラムにビーターが当たる音、その後の広がりのある残響まで表現してくれます。私は、昔ドラマーだったので、自分でドラムをプレイして、生の音を嫌というほど聴いていた為、どうしても、オーディオセッティングで一番シビアになるのがドラムの音なんですが、音の切れ、ドラム本来の鳴り、響きの良さには、驚きました。よし!スピーカーはコレで決まり!と即断できる名機のひとつだと思います。約20年にわたってシリーズ化されるのも当然といえば、当然です。
このスピーカーは、アンプのパワーが、そのまま音質に反映されてしまうので、コンパクト型のアンプや、100W以下のアンプを使用すると、そのアンプのパワーに合ったスケールの音しか出ません。十分に性能を引き出す為には、このスピーカーを鳴らしきれるパワーのあるアンプを使用した方がいいと思います。また、全体的な音の傾向は、JBLなどと比べると、聴き疲れしない、柔らかい音質なので、楽器の音を硬質にしたければ、材質が銀のものを使うなどしてみると、楽器の輪郭が良くなります。参考程度ですが、私は、NECのA−10シリーズ、サンスイの907シリーズなど、十分にパワーのあるアンプと、JBL製のスピーカーケーブルを使用して、音楽的な音の豊かさ、スケール感と、楽器の輪郭を両立させるセッティングにして使用しています。
この製品用に専用スピーカースタンドLS−500も発売されていました。このスピーカーの性能、個性を100%引き出したいのなら、純正スピーカーを使用したほうがいいと思いますが、音のエッジを強調したサウンドが欲しいなら、TAOC製のスピーカースタンドSST-40Hなどの金属製スピーカーでサウンドチューニングしてもいいと思います。
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