オールアルニコでバスレフ！
１９９８年発売、定価１０４７９０円（２台１組）。ビクターの名機の中でも、超ロングセラーとなった密閉型スピーカーの人気機種ＳＸ−５００シリーズがバスレフタイプになり、アルニコマグネットの美しい響きとバスレフ型の歯切れのいい低音でロングセラーを記録した名器。
低域、高域のユニットは、内磁型アルニコ磁気回路を使用、ウーファーは，ドイツ・クルトミューラー製コーンを特殊製法で剛性を高めたバスレフ用高弾性パルプコーンを搭載。またこのウーハーをよりよく鳴らすために,駆動力にすぐれたエッジワイスボイスコイルにより,トランジェント特性を高め,広い再生レンジを獲得。さらに、リニアリティが良く,耐久性の高い米国製素材のスパイダーサスペンションにより、微小信号まで鮮やかに再生。そして、ルックスも高級感があります。楽器にも使われることの多い、チェリーの無垢材を、バッフルボードの芯材に採用、音質面からキャビネット外装だけでなく内側もチェリーの突板で包み込み前面
を鏡面に光沢塗装として、高品位な響きと美しい艶にまとめ上げてあります。
ＳＸ−５００ドルチェが密閉型の完成型なら、こちらは、バスレフ採用によりビクターのお家芸であるアルニコによる美しい響きに、低音の迫力を加えた新たなビクターの音のスタイルを確立した名器と言えると思います。実際、このモデルの後に、バスレフ型の名器が次々に登場しますし、このモデルはロングセラーとなり近年まで発売されていました。どうしても密閉型の音質にこだわりたいというオーディオファンにとっては、ビクターには密閉型を追及してもらいたいという期待もあると思いますが、実際に使ってみれば、バスレフによる迫力に驚かされると思います。
ビクターのＳＸ−Ｌ５の音質に衝撃を受けてから、色々とビクターのスピーカーを使うようになり、ビクターのスピーカーにはハズレが無い事を確信できるようになりましたが、このモデルは、久々の衝撃でした。まず、音楽全体の中での低音の迫力と、ドラム、ベースなどの低音楽器のパワー、歯切れの良さがバスレフの効果で飛躍的に向上し、ＳＸ−５１１、ＳＸ−７００などのスピーカー以上に豊かな低音を体感できる事。バスレフダクトが背面にある為、ＪＢＬのスピーカーのようにカラッとしたドライな音抜けではなく、バスレフながらも濃密な低音を体感できるのですが、密閉型のＳＸ−５００シリーズに慣れている人は、その低音のパワーに驚愕すると思います。安物のシスコンのアンプで鳴らしても驚くほど豊かな低音が得られるので、アンプをグレードアップしなくても、このスピーカーを使うだけで低音不足が解消できます。しかも、アナログレコードからＣＤの移行期に発売された音質の悪いＣＤでも驚くほど充実した低音が出るので、リマスターＣＤ、ＳＨＭ−ＣＤなどの高音質ＣＤに買い換えなくても、迫力のある低音を楽しめてしまうというのも凄いです。アルニコ採用の効果が実感できる中高域の響きの美しさも精度が高められ、密度の高いヴォーカル、弦楽器の美しい響きが楽しめる上に、ドライブ感のある低域が楽しめるてバランス的にも最高です。音場も広大なのでピュアオーディオとＡＶ兼用のスピーカーとしても最適だと思いますが、ＳＸ−５００ドルチェまでのシリーズの音質に慣れてしまっている人には、低音が出過ぎかな？と感じてしまうかもしれません。その場合は、背面のバスレフダクトにスポンジや小さいタオルなどを入れて低音のレベルを調整するという裏技で対応すれば、好みの低音レベルに調整できます。ロック、ポップス、クラッシックなどオールラウンドで楽しめるスピーカーだと思いますが、ハードロック、ヘヴィメタルのエッジの聴いたゴリゴリ感が欲しいという方には、ちょっと音が柔らかく感じるかもしれません。その場合は、硬質な音のアンプと組み合わせて、スピーカーケーブルをＪＳＣ−１０００のようなシルバー素材のものにすると、金属的な音を強調できると思います。チェリーウッドによる美しい仕上がりのボディにもアンティーク家具のようんな美しさがあり、個人的には、今まで使ったビクターのスピーカーの中では、一番好きなスピーカーです。
大ヒットしてロングセラーでしたが製造終了品です。今でも絶大な人気のある機種なので、オーディオショップでの中古相場は７万円前後と高めですが、７万円でも高くは無いと思います。この製品用に専用スピーカースタンドＬＳ−５００ＤＥも発売されていましたが、この純正スタンドも製造終了で入手困難で、スピーカー本体よりレアな商品になっています。
●ｻｲｽﾞ : (W)294×(H)440×(D)330mm
● 重量 : 6.5kg(1本)
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