セットで使うと最強!
1991年発売、SX-W7、SX-W7ともに定価54000円(1台)。コンパクトスピーカーSX-C7と、スーパーウファーSX−W7という2種類のスピーカーに分けて発売されましたが、専用取付金具で固定して一緒に使う事によってビクターらしいアルニコの響きと迫力の低音を楽しめるスピーカーです。
SX-C7は、アルニコを採用しビクターらしい美しい中高域を楽しめるサウンドで、背面にバスレフダクトがあり、スッキリとした音抜けで快活なサウンドです。一見すると1ウェイスピーカーに見えますが、ウーファーのセンター部分にドームトゥイーターが重ねるようにセットしてある2ウェイ型です。SX-W7は、18.5cmセミプレスコーンを2個使用した、スタガードドライブ方式のスーパーウーファーシステムで、上部と下部のユニットは仕切り板で区切られ、上部のバスレフダクトが背面に、下部のバスレフダクトが前面にあり、これによりバスレフらしい音抜けの良さと全体を包み込むような低音の広がりを実現し、クラッシックからロックまで幅広いジャンルに対応できる優秀なスーパーウファーになっています。音抜けだけを重視したというよりは、SX-C7とセットで使用した時に最高のバランスになるように緻密な設計がされているようです。セパレイトタイプのような形で販売されていてSX-C7はコンパクト型2ウェイスピーカーとして、SX−W7はスーパーウーファーとして、それぞれ単体で使用できますが、当然の事ながらセットで使うのがベストです。ビクターの美しい中高域の響きに迫力の重低音と音抜けの良さを加えた素晴らしいスピーカーです。
SX−700を長い間メインのスピーカーとして使用していたので、ビクターのトールボーイタイプのスピーカーは信頼できる!と確信があり、ちょっとマイナーな機種で値段が手ごろだった事もあり購入しました。期待通りと言うか、期待していた以上のグレードで驚きました。私は、昔バンドでドラムをプレイしていたので、ドラムの音に関しては、極端なこだわりがあり、長年ビクターの美しい響きに魅せられてJBLからビクターをメインに使うようになってからも、ドラムの音抜けだけは、ちょっと不満がありました。理想としては、ビクターの美しい中高域の響きにJBLのような音抜けがあればベスト!と考えてオーディオをチューニングしてきましたが、このセットは、限りなく理想に近いサウンドで、やっと理想の音に巡りあえた気がします。楽器の音のリアリティを追求するならJBLのスピーカーを基本にオーディオ製品を組み合わせていけばいいんですが、それぞれの楽器とヴォーカルが溶け合った音楽全体の響きの美しさを考えると、ドライで味気ないような気もします。トータルの音楽性を美しく聴かせてくれるという意味でビクターのスピーカーを愛用する事が多くなったわけですが、私自身もドラムやギターなどの楽器を演奏するので、音抜けや楽器の音のエッジの強さという面を妥協しなければならなくなり、楽器の音のリアリティと音楽的な響きの美しさのバランスが悩みの種でした。しかし、このスピーカーセットに出会えた事によって、理想的な音を手に入れる事ができました。ペアで定価10万円以上のSX-C7は、バスレフ型になった事で中高域の音抜けが良く、単体で使ってもJBLのJ−316と同等の音のグレードで、音の伸びも良くビクターらしい響きと音の広がりを楽しめます。また、SX-W7は、DALIのスピーカーなどにも採用されているスタガードドライブ方式によって、低音に押し出しの強さと部屋全体に広がり音楽全体を包み込むような低音の空気感が絶妙のバランスで、低域の響きはこんなに感動的なのか!と驚かされるほどです。JBLに比べると全体的には柔らかめの音質ですが、音楽全体のバランスと音抜けの良さ、空間表現力を兼ね備えた逸品です。このスピーカーシステムの低音に慣れてしまうと、他のスピーカーでは物足りなさを感じてしまい、他のスピーカーに変える気になりません。低音の響きが体に沁み込み感動に変化する快感は病み付きになります。
SX-C7の代わりにJBLのJ−316をSX-W7とセットで使ってみたりしましたが、バランス的には、そのままSX-C7とSX-W7を使った方がまとまりがありました。個人的には、ブルースロック、ハードロックなどをメインに聴いているので、楽器の音のリアリティを強化する為にJBLのJSC−1000をスピーカーケーブルに使用し、音のエッジを強くするチューニングにしています。私は、音を硬質にするためにアンプもNECのA-10シリーズやビクターのAX−Z911などパワーのあるアンプで使用していますが、楽器のリアリティよりヴォーカルの艶、音楽全体の美しい響きを楽しみたい方は、DENONのアンプなどで合わせれば、最高だと思います。ルックス的にも濃い目のチャコールグレーのカラーが、ベタ塗りの黒よりもオシャレで、インテリア的にも気に入っています。取付金具でSX-C7とSX-W7の背面をネジで固定できますが、SX-C7とSX-W7で総重量が約27kgと、かなり重いので設置の際は腰を痛めないように注意した方がいいでしょう。
ビクターのロングセラーシリーズSX−3シリーズ、SX−500シリーズに比べるとマイナーな製品で、シリーズ化されなかった事からも、ハッキリ言ってセールス的には失敗作だったようです。ただし、品番に7が付いている事からも、製品のグレードとしてはSX−700と同位置づけで考えられます。実際にセットで使ってみるとSX−500シリーズの上と実感できます。SX−700と比べてスマートなデザインでインテリア性も高く、セパレイトにせずに単体のトールボーイ型スピーカーとして発売していれば、大ヒットしたような気がします。ヒット商品ではなかった為、中古商品も少な目ですが、セットで20万円以上の定価にも関わらず中古商品では5万円前後とお買い得です。
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