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ジョーイ
 
Something for Joey

●監督
ルー・アントニオ

●キャスト
ジェフリー・ライナス
マーク・シンガー

●文部省特選

■ ストーリー ■

 
 ペンシルバニア州に住むキャパレッティ一家は、裕福な家庭ではなかったが、家族全員が仲良く幸せに暮らしていた。だが、末っ子ジョーイは、白血病の為、余命数ヵ月と診断され、激しい苦痛を伴う治療に耐えていた。ジョーイの担当医は、家族への負担を考えて施設への入所をすすめるが、ジョーイの家族は、全員で協力し合いジョーイを自宅で看病する事になる。白血病の苦痛に耐えながら生活するジョーイの唯一の楽しみは、大学のフットボールの選手をしている兄ジョンの試合観戦。ジョンも、そんなジョーイの事を何よりも心配していたが、ある日、ジョーイが高熱で倒れて、意識の戻らない植物状態になってしまう・・・。

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■ レビュー ■


 1977年アメリカ作品。監督はルー・アントニオ、出演はジェフリー・ライナス、マーク・シンガーなど。1973年にハイズマントロフィー(アメリカ大学フッボール最優秀選手賞)を受賞したジョン・キャパレッティ選手と彼の家族の実話を元にした感動作。

 ロサンジェルス・ラムズのフットボール選手と、彼の家族の体験を元にした実話の映画化で、1970年代後半から1980年代の前半に日本のテレビで何度も放映され、文部省特選作品になっていました。1970年代を代表する名作なので、ご存知の方も多いと思いますが、なぜかDVD未発売で、若い世代の方には観る機会がないのが残念です。この作品の主人公であるキャパレッティ一家は、両親と長男のマーティー、次男でフットボール選手のジョン、三男のマイケル、長女ジニー、そして末っ子のジョーイの7人家族で、長男マーティーの妻が家族の物語を回想する形で物語が進行していきます。実話の映画化という事で、特に派手な演出やおおげさな音楽などは使われず、フットボール選手として活躍するジョンの実写映像を交えながら、物語は淡々と進んでいき、どちらかというと地味な展開ですが、家族それぞれの人間性、白血病の為に余命わずかなジョーイの為に協力し合って生きていく姿が、とても感動的です。映画のハイライトシーンは、フットボール選手として最高の栄誉であるハイズマントロフィーの授賞式のシーンですが、大学のフットボール選手として活躍しながらも、自分の幸運と、弟ジョーイの大きな試練を比較して思い悩むジョンの姿や、最善を尽くしながらも、親として正しい選択をしてきたのか悩む両親の姿は、聖人とは言わないまでも、人間としてのお手本のような善良さがあり、涙なくして観る事ができません。また、まだ幼いジョーイが、激しい痛みを伴う治療に耐え、家族に心配をかけないように明るく振舞う姿にも、並外れた善良な人間性が感じられます。文部省特選作品に選定されたのも当然でしょう。できれば、小学校、中学校の授業で、すべての子供たちに鑑賞させてあげたい作品で、作り話ではなく、実話だという事が、さらに感動を大きくしてくれます。この作品を観て泣かない人って、ほとんどいないと思います。

夫の家族は、いい人たちでした

 ジョーイが植物状態になり、母親や家族の負担が大きくなる事を考えた医師は、施設への入所を勧めますが、家族は全員で協力し合ってジョーイを自宅で看病します。キャパレッティ家の家族のそれぞれが、自分の事より、家族の事を最優先に考えています。しかも、フットボール選手として有名になったジョンは、自分だけが幸運で、なぜジョーイは苦しまなければならないのか?と悩み、母親は、ジョーイが病気で苦しんでいるのに、授賞式への出席で有頂天になっている自分を責めます。そして、家族全員に愛されていながらも、自分がいい父親なのかどうかと分らないと考えこむ謙虚な父親。人からいい人と言われる人は、常に他人に優しく、自分に厳しいんですよね。本当に家族全員がいい人で、人間としてのお手本のような人たちです。

本当の気持ちは伝えにくい

 試験の為に勉強しているジョンは、本当は愛しているのに、その気持ち正確に伝える事が出来ず、イラついてジョーイとケンカしてしまいます。家族や友人、パートナーには、親しいからこそ真意を伝えにくい事があります。家族全員がいい人という理想的なキャパレッティ家でさえ、本当の気持ちを伝えるのは難しいようです。親しいからこそ、相手が分っているものと考え、気持ちを言葉で伝えない事もありますが、できるだけ言葉にして伝えた方がいいのかもしれません。


弟が幸せを味わえるなら

 ジョンがハイズマントロフィー受賞のスピーチを行うクライマックスシーン。家族に感謝の気持ちを伝えるジョンの言葉、常に病気と闘い続けているジョーイに多くの事を教えられたと語るスピーチは、映画史に残る名場面で、何度観ても涙が止まらなくなります。

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DVD未発売

 んーー、この作品もダメですかね?。70年代を代表する名作の一つだと思いますが、DVDは発売されていません。幸い70年代には人気のあった作品なので中古ビデオテープが豊富で、1000円から5000円ほどの価格で購入が可能です。できればDVDの高画質で楽しみたい名作ですが、DVDで発売される見込みも無いようなので、ビデオテープで探すしかありません。私も中古ビデオで入手しました。こんな名作が埋もれてしまうのは、もったいない気がするんですが・・・。

 

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