アメリカからフランスのパリにやって来たアンドレは、マフィアから金を借りてしまい、その借金の返済に苦しんでいた。返済期限が迫り絶望したアンドレは、橋から身投げして自殺しようとするが、突然現れた美女が、アンドレより先に川に飛び込んでしまい、慌てたアンドレは彼女を救うハメになる。アンジェラという名の美女は、なぜかアンドレに好意的で、彼を励ましてマフィアとの返済の交渉に付き合ってくれることになるのだが・・・。

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　２００５年フランス作品。監督は『グラン･ブルー』『レオン』などの リュック・ベッソン。出演は、『アメリ』のジャメル・ドゥブーズ、『ファム･ファタール』のリー・ラスムッセンなど。借金でクビが回らなくなり逃げ回るダメ男と天使の純愛を描いたラブストーリー。

　ミラ･ジョボビッチ主演の『ジャンヌ･ダルク』から６年ぶりの リュック・ベッソン監督作品。『グラン･ブルー』『レオン』などの監督として、また、大ヒット娯楽作『ＴＡＸＩ』シリーズの製作、脚本家として世界中の映画ファンに愛される リュック・ベッソンの久しぶりの監督作品なので、かなり話題になった作品でした。リュック･ベッソン監督らしいユーモアと感動を味わえる作品で、あえてモノクロ作品にした事で作品の本質的なテーマが心に沁みこむ様な秀作になっています。主演の二人はビッグネームの俳優ではありませんが、小柄なブ男と人間離れしたスタイルと美貌を持った長身の天使というアンバランスなカップルはインパクトが強く、色気やユーモアなどエンターテイメント性も十分、また、単なるラブストーリーではなく、自分に自信を持てない人にとっては、映画を楽しみながら自己啓発もできるというお得な作品です。『グラン･ブルー』『レオン』ほどの衝撃と感動は望めませんが、自分に自信を持って前向きに生きていこうという気持ちにさせてくれる作品なので、リュック・ベッソン監督の作品の中では、最も明るい作品かもしれません。絶望している人、自殺したいと考えている人には是非観て頂きたい名作です。

バカで醜男で無能だから

　アンドレが自殺しようとした理由は、自分が全く価値の無い人間のように感じていたからですが、バカでブ男で何の才能が無くても美しい心を持っていれば、きっと誰かの為に生きることができますし、必要としてくれる人もいるはずです。美しい心があるなら、利口でハンサムで才能のある悪人よりずっと人間的に価値があると思います。

君の為に何かできるのは、君しかいない

　大使館に助けを求めるアンドレですが、担当者にこんな説教をされてしまいます。自分の力で解決しようとせずに、誰かに助けてもらおうとする人も多いですが、結局、自分自信で解決しようとする意志が無いとどうにもならないのかもしれませんね。まぁ、天使が助けてくれるなら、一番いいんでしょうが・・・。

野心、権力を求め、批判を恐れ、愛を恐れる

　アンジェラが男の欠点について色々と指摘しています。嘘をつく、逃げる、考えないで行動するなどに関しては、男の欠点と言うより、人間全般に関する欠点のようにも感じますが、野心や権力を求めるのは男性的な欠点なんでしょうね。

プチブル

　アンジェラが自分の前世を語るときに、こんな言葉が出てきますが、これは、プチ･プルジョワジーの略ですね。プロレタリアート＝労働者階級、下層階級、それに対してブルジョワ＝資本家、支配階級ですが、プチブルは、大企業の幹部や資本家ほどの財力は無くても、中小企業の社長の息子や娘のような裕福な階級を指しています。まぁ、大富豪と言うほどでは無いにしろ、そこそこ裕福な金持ちに対して軽蔑の意味を込めて使うことが多いようです。

 

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