探偵の金田一耕介は、友人の磯川警部の依頼で、２０年前に起きた殺人事件の捜査をすることになる。鬼首村という寒村の温泉宿『亀の湯』の女主人である青池リカの夫が殺害され、容疑者はいまだに行方不明という迷宮入りの事件だが、磯川警部個人が金田一の能力を買って依頼したのだった。金田一は、被害者の未亡人である青池リカの温泉宿に宿泊し、調査を開始すると鬼頭村の複雑な人間関係が明らかになっていった・・・。

 

 

　１９７７年、日本作品。監督は市川今、出演は、石坂浩二、若山富三郎、『男はつらいよ・私の寅さん』の岸恵子など。横溝正史の長編推理小説を映画化した。サスペンス作品。

　１９７０年代に大ヒットした横溝正史原作のサスペンス映画シリーズの第２弾で、シリーズ最高傑作と言われている名作です。主演の石坂浩二さん、若山富三郎さん、岸恵子さんの３人だけでも豪華なキャストですが、他にも、高橋洋子さん、仁科明子さん、永島暎子さんなど魅力的な出演者が多数出演している豪華キャストという事も話題になりました。登場人物が多く複雑な人間関係の作品ですが、テンポのいい絶妙な編集によって分かりやすくまとめてある為に、１４０分以上という長い作品であるにも長さを感じさせません。特筆すべきは、岸恵子さんの美しさと演技力、圧倒的な存在感でしょう。クライマックスシーンで抑えきれない感情を爆発させるシーンでは思わずもらい泣きしてしまいますし、当時４０代とはいえ、絵になる美しさは存在感が抜群で、本作の質を特別なものにしています。また、昭和の時代の美しい日本の風景を堪能できる作品でもあり、美しい風景の映像にはため息が出るほどです。映画化された金田一耕介シリーズの中で最もカルト的なファンが多く、特異な作品なのも当然でしょう。サスペンス作品が好きではない映画ファンにもオススメできる名作です。

　石坂浩二さんが主演した金田一耕介を主人公にした作品は、大ヒットしたシリーズでしたが、私は、サスペンス作品が特に好きなわけではないので、当時は、一連の金田一耕介シリーズはほとんど観ませんでしたが、この作品だけは衝撃でした。当時、まだ１２歳ぐらいでしたが、磯川警部の感情が心に焼き付き忘れられなくなりました。他のシリーズ作品も名作ばかりだと思いますが、個人的には、この作品は恋愛映画として特別な思い入れがあり、他の金田一耕介シリーズ作品とはレベルの違う名作だと思います。殺人事件を扱ったサスペンス作品は後味の悪い作品も多いですが、この作品は、観終わった後に人間の恋愛感情の美しさに感動できるのがすばらしいと思います。往年の映画ファンは、懐かしの名作として、若い世代の方には一味違うサスペンス作品として楽しめると思います。

長年の悪行の祟りで・・・

　本作で事件のカギとなる登場人物の放庵は、悪行の祟りで手が不自由になったとか語っていますが、これ程悪いことをして手が不自由になるだけならマシなほうでしょう。私も若気の至りで色々と酷い事をしてきたので、色々と体が壊れていますけど・・・。

色と欲

　とても悲しい物語ですが、世の中のトラブルって、全ての原因はコレなんでしょうね。

むごい男とわかっても、好きやった

　恋愛感情というのは合理的な判断で割り切れるものではありません。好きな相手が悪人だったり、自分に対して興味を持っていなかったりしても、好きなものは好きなんですよね。こういう一途な感情が悲恋を生んでしまうんでしょうけど、コレばかりはどうしようもありません。

え？何か言いましたか？

　エンディングのシーンですが、個人的には、犯人の解明よりも磯川警部の感情の方が衝撃がありました。この作品をはじめて観た時は、まだ子供だったので恋愛感情に共感したわけではありませんが、子供心に強く焼きつき衝撃を受けたのを今でも覚えています。

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