高知県の高校から東京の大学へ進学した杜崎拓は、ＪＲの駅のホームで高校の同級生だった武藤里伽子にそっくりな女性をみかける。杜崎は、同窓会に出席する為に帰省する飛行機の中で、武藤里伽子との出会いや、親友の松野との高校での思い出を回想する・・・。

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　１９９３年日本作品。監督は望月智充、声の出演は、坂本洋子、飛田展男など。スタジオジブリ製作の恋愛映画作品。

　スタジオジブリの恋愛映画の名作です。子供から大人まで楽しめるファンタジー作品、社会問題をベースにしながらもエンターテイメントとして楽しめる作品などを得意とするスタジオジブリの作品の中では、ある意味で異色の正統派恋愛作品です。主人公の友情、恋愛を描いたシンプルなストーリーで派手な作品ではありませんが、なぜか何度も観たくなる不思議な魅力のある作品です。恋愛、友情、家族愛など様々なテーマを取り入れていますが、それぞれのテーマがバランス良くストーリーに取り入れてあるので、物語を詰め込みすぎてメインテーマがぼやけたりせず、ストーリーの面白さ、印象的で心に残るセリフなどを楽しめます。高知県を舞台に高校生の日常生活を淡々と描いた作品なので、非現実的な世界観やアニメならではの派手な映像などはありません。アメリカンコミックのような派手なアニメを期待する人には向かないでしょう。

　高校を卒業して大学に進学した主人公が、同窓会に出席するシーンが本作のハイライトシーンの一つになっていますが、この同窓会のシーンは、同じような経験をした人たちから多くの支持を得ているような気がします。私は変わり者なので同窓会には一度しか出席した事がありませんが、本作で描かれている同窓会のように、久しぶりの再会でカップルになって結婚した同級生もいましたし、昔仲が悪かった同級生でも、久しぶりに会うと懐かしくて悪い感情なんて出てこないんですよね。上映時間が短い作品の割には

女なんぞに、お前の良さは解りゃせん

　男同士、女同士にしか解らない人間的な魅力ってありますよね。異性だとルックスを重視してしまいがちですが、同性だと恋愛感情を抜きに人間性を見極められるので、同性から人気のある人って、やっぱり人間的にすばらしい人が多いような気がします。

世界が狭かった

　高校生ぐらいの年齢だと、まだまだ人生経験も十分ではありませんし、狭い世の中で自分の狭い価値観で人を判断し勝ちです。高校を卒業して社会人になったり大学生になったりして世の中に出ると、今まで自分が狭い世界で生きていた事を実感し、人に対して寛大になり、いい意味で大人の視点で人や世の中を見ることができるようになります。世の中の対人トラブルのほとんどは、狭い価値基準にこだわるからかもしれませんね。

 

世間がわたしのこと考えてくれるの

　思わず苦笑してしまうようなシニカルなセリフも出てきますが、里伽子に同級生の女子から吊るし上げを食らって涙を見せるシーンでは、同情して泣けてきます。

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