１９３０年代、アメリカ大恐慌時代、母親を交通事故で亡くして孤児となった少女アディは、以前、母と付き合っていた詐欺師のモーゼに連れられ、叔母の家に向かう事になる。子供とは思えないしたたかさを持つアディと、詐欺で生活しているズル賢いモーゼは、旅の途中に険悪な仲になるが、アディがモーゼの仕事を手伝うようになり、二人には、親子のような感情が生まれてくる・・・。

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　１９７３年アメリカ作品。監督は『マスク』のピーター・ボグダノヴィッチ、出演は『がんばれベアーズ』のテータム・オニール、『ある愛の詩』のライアン・オニール。詐欺師の男と孤児の少女の旅を、コメディタッチで描いたロードムービー。

　ライアン・オニールとテータム・オニールの親子が主演した傑作ロードムービーで、この作品でテータム・オニールは史上最年少でアカデミー賞を受賞しました。１９７０年代の作品ですが、大恐慌時代の時代を表現する為でしょうか、あえてモノクロ作品で製作されていて、クラシカルな雰囲気を楽しめる作品に仕上がっています。主演の二人が、親子ならではの絶妙に息のあったコンビで、かなり笑わせてくれる作品ですが、スパイス程度に、世相を反映したブラックジョークも入っているので、１９７０年代の作品らしい、大人から子供まで楽しめる作品になっています。人間性の浅い、安っぽい詐欺師を演じているライアン・オニールもハマリ役で笑えますが、やはり、テータム・オニールの存在感がピカイチで、子供らしからぬ生意気な表情は、最初から最後まで笑わせてくれます。一応ロードムービーですが、モノクロ作品という事もあって、旅の楽しさを味わえるような美しい景色が次々と出てくるような映画では無いのでロードムービーとして楽しむより、コメディ映画として楽しんだほうがいいかもしれません。モノクロ作品が苦手な方には、映像的にキビシイかもしれませんが、とにかくストーリーが面白いので、一度は観ていただきたい名作です。

大きくなっても、男をだます女にはなるな

　笑えるセリフですが、これは父親の本音でしょう。子供の頃からマセていたり、やたらに頭が良かったりすると、大人になってから男を騙すような女性になってしまうんじゃないかと心配になります。

金持ちほど貪欲なものだ

　さりげなく出てくるセリフですが、この作品の中で一番印象に残ったセリフです。あまり欲が無く、すぐに他人に施しをしてしまう人間だと、いつまで経ってもビンボーですが、欲が深く、貪欲な人間だからこそ金を貯めて金持ちになれるのかもしれません。

まだ２００ドル貸しよ

　クライマックスシーンでは、笑いと感動が頂点に達します。安っぽく短気なモーゼ、クールでニヒルなアディのキャラクターが強調されていて、笑いと共に爽快な気分を味わえるエンディングです。

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テータム・オニール

　この作品でアカデミー賞を受賞し、将来を期待されたテータム・オニールですが、この後、大ヒット作『がんばれベアーズ』に出演した以外は、出演作品に恵まれず、結局、この作品が、彼女の代表作となってしまいました。日本でもアイドルとして絶大な人気があったので、彼女の出演作品が少なくなってしまった事を悲しんでいるファンも多いのではないでしょうか。

 

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