建築家のフランクは、クリスマスに書店で買い物をしていたが、荷物が多く、モリーという女性にぶつかって荷物を落としてしまう。モリーは、フランクの落とした荷物を拾うのを手伝い、『メリー･クリスマス』と挨拶をして別れたが、しばらくして、電車の中で偶然再会する。フランクは妻と二人の子供の父親であり、モリーも医師をしている亭主がいて、お互いに家庭を持っていたが、二人は、電車で何度か会ううちに、互いに惹かれあうようになっていった・・・。

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　１９８４年アメリカ作品。監督は、『ディープエンド・オブ・オーシャン』のウール・グロスバード。マイケル･チミノ監督の『ディア･ハンター』でも共演しているロバート･デ･ニーロとメリル･ストリープが共演。この作品は１９８４年度の作品ですが、ロバート･デ･ニーロは１９８０年の『レイジング･ブル』でアカデミー賞主演男優賞を受賞、一方のメリル･ストリープも、１９８２年公開の『ソフィーの選択』でアカデミー主演女優賞を受賞するなど、人気、実力共に絶頂期のオスカー俳優の共演として話題になりました。不倫という重いテーマの映画で、派手さは無く、エンターテイメント性も低い作品ですが、二人のオスカー受賞者の演技には、感情を揺さぶられてしまいます。モリーを演じるメリル･ストリープの演技は、自然で押し付けがましさがなく、女性の割には無口なキャラクターにも好感が持てます。これ以上は絶対に無理！と思える繊細な演技で、画面に釘付けにされてしまいます。ロバート･デ･ニーロの存在感がかすんでしまうほどメリル･ストリープの演技は魅力があります。これだけでも、この映画は価値があると思います。

　単なる偶然なのか、世界的な傾向だったのかは分りませんが、日本でも、同じようなテーマのドラマが大ヒット。主題歌の『恋に落ちて』という曲も大ヒットしました。普段は邦楽をほとんど聴かないのですが、この曲は私も買いました。ホントにいい曲でしたが、不倫というテーマには、やはり抵抗がありました。私の友人はロバート･デ･ニーロの大ファンでしたが、この映画に関しては、ひどく失望していました。『世界的な人気のある俳優なんだから、出演作品は、もっと責任を持って選んで欲しい』、と怒っていました。不倫を肯定するような映画には共感が持てないという気持ちは良く分ります。裏切られる家族もいるわけですから。それに、こういう映画を観て影響を受けて、不倫をする人もいるでしょうし、所帯持ちには、オススメとは言えません。

その方がもっと悪いわ

　『何も無かった』と弁解するフランクに向かって妻のアンが言うセリフですが、スケベ根性で体だけの関係を持つだけなら、状況によっては、まだ許せても、本当に気持ち、愛情が他の人に移ってしまったら、パートナーとしての関係は致命的で、本当の裏切りです。こういうのが一番悪い裏切りですね。もし自分が、そんな立場になったら、立ち直る自信がありません。

 

音楽の担当はデイブ･グルーシン

　主演のロバート･デ･ニーロとメリル･ストリープの演技は、本当に魅力的で、この二人の演技を観るだけでも価値があると思いますが、映画を一層魅力的なものにしているのは、軽快で都会的な音楽。この映画の音楽を担当しているのは、『天国から来たチャンピオン』の音楽も担当しているデイブ･グルーシンです。都会的で軽快な音楽が不倫という重いテーマを、やわらげてくれています。この映画のタイトル曲は、彼の作品の中でも傑作で、彼のベスト盤にも収録されています。

 

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