1982年アメリカ作品。監督は『ノースダラス40』のテッド・コッチェフ、主演は『ロッキー』シリーズのシルベスター・スタローン
。特殊部隊に所属していた優秀な兵士が、帰国してから孤立し、軍隊、警察隊を相手に一人で戦いを挑むアクション映画。
特殊部隊で訓練された兵士が、一人だけで軍隊を相手に戦えるほどの体力、戦闘能力を持っているというコンセプトが衝撃的でした。映画なので、おおげさに描いていると思いますが、森の中にある物を利用して戦闘に利用するなどリアルなシーンもあり、殺人マシンとして鍛え上げられた人間の能力の高さには驚かされました。そして、何より強烈だったのは、兵士としては一流でも、社会の中では能力を生かすことが出来ず、冷たい社会の中で孤立してしまう事です。アメリカン・ニューシネマの『ドッグ・ソルジャー』などの作品にも共通した孤独感は、ゆがんだ社会の冷たさと共に強く印象に残ります。アクションシーン、サバイバル術などはリアルな出来なのでアクション映画としては最高ですが、完全に男性向けの作品で、ロマンスなどの要素は全く無く、ユーモアも無いので女性にはオススメできません。
戦場じゃ、仁義があって、お互い助け合った
現代社会に対する皮肉かもしれません。戦場という死と隣り合わせの環境では、人間同士の結束が強くなり、お互いに助け合おうとする気持ちがなければ生きていけないと思います。戦場でなくても、肉体労働など過酷な労働条件で一緒に働いている人間は結束が強いものですが、生産技術の向上、合理化によって肉体的な負担が少ない仕事が増えると、人間同士の信頼関係や、結束力が弱くなり、お互いに助け合おうという気持ちが無くなり、生きづらい世の中になってしまうのかもしれません。国に帰ってみたら、仁義も助け合いの気持ちも無くなった社会になっていたというランボーの本音に共感を持つ人も多いのではないでしょうか。