１９５０年代後半、カリフォルニアに住む高校生のリッチーは、音楽的な才能が認められレコード会社のプロデューサーにスカウトされる。レコードデビューしたリッチーは、ヒット曲を連発、一気に有名になるが、恋人の両親に交際を反対されたり、兄との関係が険悪になるなどの悩みを抱えていた・・・。

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　１９８７年アメリカ作品。監督は、ルイス・ヴァルデス、主演は、『ブロークダウン・パレス』『ヤング・ガン』などのルー・ダイアモンド・フィリップス。『ラ・バンバ』などの大ヒット曲を発表した実在のアーティスト、リッチー・バレンスの短い生涯を描いた伝記映画。

　８０年代、ストレイ･キャッツというロカビリー系のロックバンドが注目され、５０年代のロカビリー系のアーティストが再評価された事がありましたが、リッチー･バレンスも、そんなロカビリー系のミュージシャンとして活躍していた一人です。デビューから、わずか８ヶ月後に、飛行機事故でなくなってしまいましたが、『ラ･バンバ』『ドナ』などのヒット曲は、いつまでも人々の心に残る名曲として親しまれています。この作品では、厳しいレコーディング風景や、過酷なコンサートツアーの様子なども描かれ、ロックファンにとっては、興味深い作品だと思いますが、リッチー･ヴァレンスという人間の家族や、恋人との関係がきめ細かく描かれていて、人間ドラマとしても感動的な作品になっています。特に、ミュージシャンとして成功した弟と比較されて投げやりになっている兄に対しても、敬意や愛情を失わないリッチーの姿には感動させられます。また、まじない師との会話では、死生観に関する意味深長な言葉もあり、自分の死を予見していたようなリッチーの人間離れした感性にも驚かされます。ミュージシャンとして才能があるだけでなく優れた人間性で人々に愛されたリッチー・ヴァレンスの早すぎる死は、悲しいものですが、『早死にするのは善人だけ』『佳人薄命』などの言葉が似合う聖人だったと思えば、やむを得ないかもしれません。ミュージシャンの伝記映画なので、音楽に関心の無い方にとっては、楽しめる要素が少ない作品かもしれません。また、時代背景が５０年代と、かなり古く、音楽や衣装なども古めかしいので、レトロ的な雰囲気、映像が苦手な方は、ちょっとガマンが必要です。

人生はヘビに似ている

　兄とメキシコへ旅をするリッチーが、まじない師と会話する場面では、哲学的で深遠な言葉に感動させられます。『生きることは眠ることだ、そして死は目覚めだ』、このセリフを基準に考えれば、リッチーの早すぎる死も、目覚めが早いだけとも考えられます。善人に限って、寿命が短いような気もしますが・・・。

愛するドナは、今どこに？

　ドナの両親に交際を反対され、なかなかドナに会えないリッチーは、彼女への気持ちを歌にして、彼女に聴かせます。今の時代だと、ちょっと恥ずかしいですが、古き良き時代ならではのラブシーンで、感動的です。リッチーのドナへの愛情が込められた曲なので、大ヒットするのも当然だと思います。

 

リッチー･オン･ステージ

　ブライアン・セッツァーが演じるエディ･コクランらと同じコンサートで演奏するシーン。大ヒット曲『ラ･バンバ』の演奏で観客も熱狂します。音楽ファンなら、やはり、このシーンが一番盛り上がるのではないでしょうか。

 

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音楽はロス･ロボスなど 　

　この映画のタイトル曲『ラ･バンバ』は、ロス･ロボスというバンドにカヴァーされ、映画の公開と共に世界中で大ヒットしました。サウンドトラックアルバムには、ロス･ロボスの曲の他にも、エディ･コクラン役で出演しているブライアン・セッツァーの曲なども収録され、６０年代のロカビリーをタップリと楽しめるアルバムになっています。

 

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