１８７０年代のアメリカ西部、盗みをして追われていたウィリアム・H・ボニーは、牧場主のタンストールに助けられ、彼の牧場で働く事になる。その牧場には、仕事にあぶれて、ならず者になった若者たちが、タンストールに拾われて、読み書きを学びながら暮らしていた。ある日、タンストールのライバルであるマーフィーの謀略によって恩人のタンストールが殺されてしまい、ウィリアムたちは、臨時保安官として犯人を捜し始めるのだが・・・。

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　１９８８年アメリカ作品。監督はクリストファー・ケイン、出演は、『ブレックファスト・クラブ』『張り込み』のエミリオ･エステヴェス、『プラトーン』『ウォール街』のチャーリー･シーン、『フラッシュバック』のキーファー･サザーランド、『ラ･バンバ』のルー･ダイアモンド･フィリップスなど。アメリカ西部の無法者ビリー･ザ･キッドと彼の仲間の人生を描いた西部劇。。

　エミリオ･エステヴェス、チャーリー･シーン、ルー･ダイアモンド･フィリップス、キーファー･サザーランドなど、８０年代にアイドル的な人気のあったスターが出演して話題になった西部劇です。８０年代にＹＡスターとかブラッドパックと呼ばれた豪華なスターが顔をそろえた事で、アイドル映画かと思われましたが、意外に本格的な西部劇で、ビリー･ザ･キッドが有名になるまでをじっくりと描いています。ビリーと彼の仲間たちを演じる俳優が個性的で演技派だった事もあり、若きならず者たちのキャラクターも魅力ですが、恩人の敵討ち、悲恋などストーリーも面白く、西部劇の王道パターンである報復劇だけでなく、やむを得ず人を殺してしまった若者の苦悩や、ならず者が生まれてしまう社会的な背景なども描かれていて深みのある西部劇になっています。映像的には、かなりリアリティを追求した本格的な作品ですが、出演者のルックスの良さがヴィジュアル的にエンターテイメント性を高めていますし、銃撃戦の迫力もあるので、ビリー･ザ･キッドの伝記映画として、また、娯楽作品としても楽しめる秀作です。チャーリー･シーンの出演時間は、ちょっと短いですが、出演者の魅力を十分楽しめる作品なので、キーファー･サザーランドや、エミリオ･エステヴェスのファンには魅力的な作品だと思います。悪人が支配する西部社会の現状や、若者の繊細な感性を描いたという意味でも、他の西部劇とは違う魅力のある作品ですが、強いて言えば、インディアンのチャベスが儀式を行うシーンで、インディアンの儀式が、単なる幻覚によるトリップとして描かれていて、観念的な深みが欠けている事でしょうか。

西部が生み出した落ちこぼれ

　徹底した個人主義で支配されていたアメリカ西部では、自分さえ良ければいいという価値観が当たり前で、力の無い者、貧しい者にとっては厳しい社会でした。ビリー･ザ･キッドや彼の仲間は、そんな社会の犠牲者だったのかもしれません。

魂の道をたどって行くと進む方向が分る

　インディアンのチャベスが、儀式を行い、自分たちの進むべき道を占います。頭で合理的に考えても答えが出ない場合は、自分の感性に従った方がいいのかもしれません。

必要というのは、生きる糧になるものだ

　自分にとって必要な人、物は、生きて行く上で自分の助けになってくれる存在なんでしょうね。人間が一生の間に親しく付き合う人間、所有する物は、生きて行くために必要なエネルギーを与えてくれているのかもしれません。

また３人殺したわけだ

　裏切り者のマクロスキーを殺し、逃げようとした二人も射殺してしまったビリーたちは、自分たちのした事に唖然とします。川に浮かぶ死体を見ながら絶望的な顔をするドクの姿は、好き好んで人殺しをしているわけでは無い普通の若者の気持ちを、うまく表現していると思います。

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