自分がスパイダーマンである事を打ち明け、お互いの愛を確かめたピーターは、メリー・ジェーンにプロポーズを決意する。しかし、メリー・ジェーンは舞台を降ろされて失業してしまい、対照的にスパイダーマンとして町の人気者となったピーターは、虚栄心が芽生え、徐々に人間性が変わってしまう。そして、ピーターの親友ハリーは、ピーターへの復讐の為、ピーターとの戦いを決意。一方、ピーターの叔父ベンを殺害した犯人が脱獄したという知らせを受けたピーターは、復讐心によって邪悪な心に支配されていく・・・。

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２００７年アメリカ作品。監督は『シンプル・プラン』などのサム・ライミ、出演は、『シービスケット』などのトビー・マグワイア、『チアーズ！』『エリザベス・タウン』のキルスティン・ダンストなど。スパイダーマンの活躍を描いたシリーズ３作目。

　シリーズ３作目、今回も虚栄心による人間の堕落、憎悪による悪の芽生えなど深遠なテーマを元に描かれています。１作目で、ピーターの叔父のベンを殺した犯人が登場し、復讐心がどれほど人間を狂わせてしまうかというテーマに主題が置かれていますが、結婚、友情についての人生訓を与えてくれるような物語りも織り込まれています。前作までは、ヒーローとして生きる責任の重さなどがシリアスに描かれていましたが、この作品では、スパイダーマンという有名人になったことから、虚栄心のワナにはまってしまう危険について描かれています。虚栄心が強くなり調子に乗ってしまったピーターは、すっかり人格が変わり、プロポーズしようとしていたメリー・ジェーンも離れていってしまいます。しかも、復讐心による邪悪な心が芽生え、親友のハリーまで傷つけてしまい、自分にとって最も重要な人たちを裏切ってしまいます。シリーズ中で最もシリアスなテーマになっていますが、虚栄心のワナ、復讐心の危険性、そして友情や結婚観まで様々なテーマが描かれていて内容の濃い作品になっています。しかし、テーマを詰め込みすぎた感じがあり、スパイダーマンの堕落や復讐心によって邪悪な心を持ったシーンが多い為、スパイダーマンの悪いイメージが強くなり過ぎて、最後まで悪いイメージが拭い去れないままで終わってしまっています。また、ピーターの、親友のハリーに対する冷たさなどのインパクトが強いので、後味の悪さが残る作品です。

運が悪かっただけだ

　ベン叔父さんを殺した犯人は、私利私欲のためにではなく、家族の為に仕方なく犯罪に手を染めてしまいました。才能や努力が報われて豊かな生活を出来る人は幸運ですが、運悪く困窮し、妻や子供の為に犯罪者になってしまう人も多いのかもしれません。こシリーズを通して、スパイダーマンの敵となるキャラクターは、根っからの悪人ではなく、運が悪かった為に悪事に走ってしまうという共通点があります。ある意味では、悪人が生まれてしまう社会のあり方に対しての批判なのかもしれません。

復讐心は毒と同じ・・・

　人に対する恨みは人間を醜く恐ろしい生き物に変えてしまいます。怒り出すと人が変わってしまうような人もいますが、復讐心による怒りのエネルギーは、人間を鬼のような人格に変えてしまいます。私も短気なので人の事は言えませんが、復讐心は心を毒してしまい、報復が成功しても空しさだけが残ります。また、復讐しても恨みを買う事になり、また被害を受ける事にもなります。やられたらやり返す、こんな事を繰り返しているると因果応報から抜け出せなくなってしまいます。

選ぶ道で自分が決まる

　ヒーローになれる人は、そんなに多くは無いと思いますが、社会や人々の為、あるいは家族為に生きるのか、それとも私利私欲を満たすために生きるのかで、その人の人間性が決まってしまうような気がします。

シリーズは続く

　この作品は３部作の完結編の予定でしたが、大ヒットした為に続編の製作が決定したようです。また、４作目以降の作品でも、重みのある人間ドラマが楽しめるかもしれません。

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