シューズメーカーで働いていたドリューは、自分がデザインした新製品が失敗し、会社に巨額の損失を与えてしまった事に責任を感じて自殺を決意するが、その矢先に、父親の訃報を知らされ、父親の生まれ故郷エリザベスタウンに向かうことになる。飛行機の中で、スチュワーデスのクレアと親しくなるが、仕事の失敗、父親の死と不幸が重なったドリューは、失意のまま、父の生まれ故郷であるエリザベスタウンにたどりつく・・・。

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　２００５年アメリカ作品。監督は『バニラ･スカイ』『あの頃ペニー・レインと』などのキャメロン・クロウ。主演は、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのオーランド・ブルーム、『若草物語』『スパイダーマン』シリーズのキルスティン・ダンスト。会社での大失敗で自殺を決意した主人公が、父親の死によって親戚に再会し、父の生まれた町の人々とのふれあいや、恋愛を通して成長していく感動作。音楽評論家だったキャメロン・クロウ監督らしい選曲が、映画をソウルフルに仕上げています。

　明るく楽しい気分にさせてくれる恋愛映画であり、アメリカ南部の美しい風景、マーティン・ルーサー・キング牧師の泊まったホテルなど、名所の数々を知る事のできるロードムービーです。絶望を味わった人間の心理や、いまだに人間性の失われていない田舎の人々の人情の温かさなども感じることができるのが嬉しい作品で、ロックの名曲の数々がドライブ気分をを盛り上げてくれます。主演のオーランド・ブルームは、さりげないオシャレで女性ファンにとっては、かなり魅力的だと思いますし、キルスティン・ダンストの可愛らしい表情には、心が癒されます。誰かが死んだとき、本当に悲しんでくれる人間こそが、真の友人である事が分る、そんな当たり前の事を再認識させてくれる作品としても価値があります。

お悔やみと嵐のような愛を

　私事ですが、先日、友人の葬式があり、久しぶりに故郷に帰る機会があり、この作品の主人公と同じような経験をしました。私は自分の故郷が嫌いで、滅多に帰郷しませんが、２０年以上に会っていなかった友人たちも温かく迎えてくれて旧友との再会を楽しめました。私自身が破産寸前で、かなり落ち込んでいましたが、旧友たちの温かい友情に励まされたような気がします。田舎ならどこでも人情の深い人間が多いとは言いませんが、故郷のある人、両親の故郷に帰る機会のある人には、是非観ていただきたい作品です。きっと人間性や、人情がうしなわれつつある現代人にとっては、かなり癒し効果のある映画だと思います。

パパは皆の心をひとつにした

　ドリューの父親ミッチのお別れ会が開かれる会場で、互いに快く思っていない人たちの気持ちがひとつになります。人間って、まだ何か、すべき事とがあるうちは生きていますが、死ぬ事によって誰かの役に立つとか、メッセージを伝えるとか、死ぬタイミングによっても多くの人に影響を与えるのかもしれませんね。

それが何なの？

　自分がデザインした商品が大失敗し、会社に大損害を与え、何千、何万という従業員に対して責任を感じているドリューは、自分のおかれた状況をクレアに告白しますが、クレアの反応は極めて冷静で、泣いている子供を励ます気丈な母親のようでした。責任を感じるのは人間として当然の事ですが、自分を責めすぎると最悪の決断しか出来なくなってしまいます。自殺したいほど落ち込んでいつ時には、いい意味での開き直りと、こういう助言をくれる人間の存在が必要かもしれませんね。

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