1978年日本映画。監督は『四季・奈津子』の東陽一、出演は、『ゴールデンスランバー』の永島敏行、『十八歳、海へ』の森下愛子など。退屈な田舎町から抜け出す為に犯罪に手を染める若者達の屈折した青春を描いた人間ドラマ。
昭和を代表する日本映画の名作です。キネマ旬報ベストテン第1位に輝きました。若き日の永島敏行さん、森下愛子さんなどの存在感が鮮烈ですが、アメリカンニューシネマののようなリアリティのある脚本は、当時の若者の共感を得て支持され70年代を代表する日本映画の名作として今でも人気のある作品です。将来に明るい希望が持てない田舎暮らしから抜けだしたいと感じる高校生の感覚は、時代を超えて今の高校生にも共感が持てるテーマかもしれません。リアルタイムで楽しんでいた世代にとっては、当時の時代の空気を思い出し、森下愛子さんの美しさを楽しむ事のできる貴重な作品としても価値があると思います。正直言って、男性の方にとっては森下愛子さんのヌードシーンだけでも価値があると思います。音楽に関しては、イギリスのロックバンドのソフトマシーンに似ていてプログレッシブロックの影響が感じられるので、プログレファンにとっては懐かしい音楽が楽しめると思います。ただし、基本的に重いテーマの作品なので、気分が落ち込んでいる時には鑑賞しないほうがいいでしょう。また、ポルノ映画のような露骨な性描写もあるので、そういう場面が苦手な方はパスした方がいいですね。
思春期らしい反抗的な態度、ケンカのシーンや野球のシーンがリアルだったり、見所の多い名作ですが、この作品は、閉塞感、虚しさ・・・コレに尽きるような気がします。重いテーマの暗い映画なので今の若い世代の方がどう感じるのか、ちょっと想像するのが難しいですし、この映画の感覚に共感できるのかどうかも微妙です。70年代の若者の感性を観察したいとか、刹那的な感覚を古い文学作品として楽しむ感覚ならイケるかもしれませんが、70年代ならではの生活感などは共感できないでしょう。どちらかと言うと、昔を懐かしむとかリアルタイムに観ていた方にオススメの作品です。やっぱり、森下愛子さんがカワイイし・・・。
帰るべきホームの無いランナーは、ただ走るだけだ
この作品の最大のテーマがこれかもしれません。帰るべき場所もなく、何の目的もなく生きていると、同じところをグルグルと回って、とうとうヘタばってしまう・・・。仏教で言う所の輪廻がこれなんでしょうか。ほとんどの人がこういう生き方をしているのかもしれません。
世の中に平等は無い
人間が考えた概念があるだけで、実際には存在しないものも多いのかもしれません。人間をコントロールするために、言葉や概念だけで、ありもしないものを考え出しているなら怖いですね。なんか絶望的な気分になってしまいます。
夢と希望を持った時は、あなたの一番大切なものを捨てなさい
何にでも代償が必要です。何か夢や希望を持ったら、何かを払わなければならないんでしょうね。その夢や希望が大きければ代償も大きくなるんでしょう。何も失わずに得られるものは何もないのかも。