ロン・ウッド、ロッド・スチュアートによる正統派
スモール・フェイセズのメンバーだったロニー・レーン(B)、イアン・マクレガン(Key)、ケニー・ジョーンズ(Dr)の3人に、元ジェフ・ベック・グループのロッド・スチュアート(Vo)、ロン・ウッド(G)が加わり結成されます。ブルースをベースにしたロックバンドですが、レッド・ツェッペリンやディープ・パープルなどのハードロックバンドのように、ギターのリフを中心に曲を組み立てるタイプではなく、ロッド・スチュアートのヴォーカルを中心に、ローリング・ストーンズなどに近いサウンドで、シンプルでストレートなサウンドは、後のパンクロックにも影響を与えたと言われています。『ステイ・ウィズ・ミー』などの大ヒットでトップバンドの地位を獲得しますが、ロッド・スチュアートのソロ活動も成功していた為、他のメンバーが、単なるバックバンドのような立場になり、ベーシストのロニー・レーンが脱退します。彼の後任には、後期のフリーでベーシストとして活躍した山内テツが加入して活動を続けました。フェイセズの解散後は、ロッド・スチュアートはソロヴォーカリストとして成功し、ロン・ウッドはローリング・ストーンズのギタリストになり、ドラムのケニー・ジョーンズは、キース・ムーンの代わりにザ・フーに参加します。
第1期ジェフ・ベック・グループのメンバーだったロッド・スチュアートとロン・ウッドがバンドの中心的な存在ですが、ジェフ・ベックに比べて、人間的にも、ギタリストとしても自己主張が少ないロン・ウッドの存在は、バンドのサウンドに大きな影響を与えています。ロン・ウッドが長いギターソロ、強いリフが好きなギタリストだったら、フェイセズの人気はロッド・スチュアートに偏らず、バンドはもっと長く活動できたかもしれません。しかし、でしゃばりすぎず、ブルースフィーリングの強いギターサウンドが持ち味のロン・ウッドとロッド・スチュアートによるルーズでストレートなサウンドこそがフェイセズらしさでもあるので、ローリング・ストーンズの為にも、ロッド・スチュアートの為にも、コレが良かったのかもしれません。