ザ・トライデンツのギタリストとしてプロデビュー、その後エリック・クラプトンが脱退した後のヤードバーズのギタリストとして本格的にメジャーデビュー。その後、自身のバンド、第1期ジェフ・ベック・グループを結成。現ローリング・ストーンズのギタリスト、ロン・ウッドがベース、ヴォーカルがロッド・スチュアートという凄い顔ぶれのスーパーバンドで「トゥルース」「ベック・オラ」を発表。サウンドはブルースをベースにしたハード・ロックで、エリック・クラプトンが結成したクリームや、レッド・ツェッペリンなどと共に、ハードロックというジャンルの基盤を作ったと言えます。
ティム・ボガート、カーマイン・アピスとをメンバーに迎えてスーパーバンドBBAを結成する予定だったジェフ・ベックですが、自動車事故の為に入院し、結成を断念、オーディションによりメンバーを集めて第2期ジェフ・ベック・グループを結成します。黒人音楽ファンクの影響が強くなり、第1期ジェフ・ベック・グループとはまったく違ったバンドになっているので、ブルースをベースにしたハードロックを期待している方には当て外れになります。メンバーはヴォーカルにボブ・テンチ、ベースにクライブ・チャーマンという2人の黒人アーティスト、キーボードにマックス・ミドルトン、後にレインボー、ホワイトスネーク、MSGなど有名なヘヴィ・メタルバンドのドラマーとなるコージー・パウエルというランナップでした。
自動車事故の為に一時断念していたティム・ボガート、カーマイン・アピスとのスーパーバンドBBAを結成。当初は第2期ジェフ・ベック・グループのメンバー、ボブ・テンチとマックス・ミドルトンを加えた5人編成のバンドとしての構想があったらしいですが、マックス・ミドルトンの脱退によって、トリオ編成のBBAとしデビュー、スタジオ盤1枚、ライブ盤1枚を発表しただけで解散してしまいます。レッド・ツェッペリンに対抗して作ったバンドと言われていますが、売れ線狙いのポップな曲も、キーボード抜きのトリオ編成でのインプロビゼーションもジェフ・ベックにとっては無意味だったらしく、ジェフ・ベックのキャリアの中で本人が最も後悔しているバンドとなってしまいます。
「僕は全てのヴォーカリストに失望している」と語るジェフ・ベックはビートルズのプロデューサーとして知られるジョージ・マーティンと共にスタジオに入り、伝説的な名盤「ブロー・バイ・ブロー」を発表。ヴォーカル無しのロックアルバムを大成功に収め、後のフュージョンブームの先駆者となります。「ブロー・バイ・ブロー」では第2期ジェフ・ベック・グループからの盟友マックス・ミドルトンがキーボードで参加、その後もヤン・ハマー、トニー・ハイマスなど、優秀なキーボーディスト兼プロデューサーと組んで「ワイアード」「ゼア・アンド・バック」という名盤を発表し続けていきます。
80年代になってロックの産業化が著しくなった頃、エリック・クラプトンや、ジミー・ペイジのレッド・ツェッペリンに比べて商業的な成功を収められないジェフ・ベックに、何とか大ヒットアルバムを作らせようと、大物プロデューサーのナイル・ロジャースを迎え、ポップなヴォーカル・ナンバーを加えたアルバム「フラッシュ」が製作されます。第1期ジェフ・ベック・グループでヴォーカリストだったロッド・スチュアートがゲスト参加した曲も収録、プロモーションビデオも製作されましたが、期待されていたほどの成功を収めるには至らず、このアルバムの後、以前のようにヴォーカル無しのギターをメインにしたスタイルのアルバムを発表し続けていく事になります。
気に入らない事があると、すぐにバンドを解散させてしまう男、気まぐれで扱いにくい、などのイメージが定着してしまっていますが、男同士ならば、3大ギタリストの3人の仲では一番付き合いやすそうな人柄ではないかと思うのは、私だけでしょうか?3人の中では一番子供っぽいというか、童心を残しているキャラクターで、とにかくギターと車の事しか頭に無い。凄く純粋な人なのかもしれません。実際3大ギタリストの中で、ジミー・ペイジとエリック・クラプトンは、特にプライベートでの付き合いはないそうですが、ジェフ・ベックは、他の2人とプライベートでもつきあいがあるらしいので、親しみやすいキャラクターなのではないかと思います。BBA結成直前に自動車事故を起こしているが、飛び出してきた犬を避けての自爆事故だったそうです。自分の身より犬を安全を優先するような彼の人柄を物語るエピソードだと思います。