コンピュータ世代のロッカー
リンキン・パークは、明らかに新世代のロックバンドだと思います。コンピュータを使って音楽を作ることは、今では珍しくありませんが、インターネットを使って、曲の完成度をリサーチしたり、情報交換したりという方法は、コンピュータ世代ならではの方法論です。また、昔のロックミュージシャンは、どちらかと言うと不良、はみだし者が多いのに対し、メンバーの何人かが、ちゃんと大学に通いながら活動していたのも時代のせいなのでしょうか。
ラップとデスメタルを融合させたサウンドは、最近では珍しくありませんが、リンキン・パークのサウンドには、ラップやデスメタルでは聴けないメロディアスなヴォーカルがありました。歌詞の内容も時代を反映した、若者の感性を代弁したような内容が多く、ラップ、ヒップホップのサウンドでは満足できないヘヴィなサウンドを求めるリスナーにも受け入れられ、デビューアルバム『ハイブリッド・セオリー』は1500万枚以上のセールスを記録しました。セカンド・アルバムの『メテオラ』も1000万枚以上のセールスを記録。2枚続けて1000万枚を売り上げるという快挙を成し遂げました。3枚目のアルバム『ミニッツ・トゥ・ミッドナイト』では、ヴォーカルのメロディを強調した路線に変化し、ファンの間では、評価が賛否両論分かれているようですが、バンドの成長が明らかで、私個人としては、バンドの成長、進化を歓迎したいと思います。
例えば、ガンズン・ローゼズのアクセル・ローズは、子供の頃から問題児で、良くも悪くも目立つ存在だったはずです。生まれながらにしてロックスターの素質、カリスマ性を持ったタイプです。それに比べるとリンキン・パークのメンバーは、どちらかと言うと目立たないタイプ、オタクのようなタイプだったと思います。特に問題を起こすことも無く学校生活を過ごしたんじゃないかと思いますが、おとなしいタイプの人間は、学校や社会に何の不満も無く生きているのかと言えば、そんなことはありません。腕力に自身がないからガマンしているだけです。不良タイプはケンカやバンド活動で怒りをブチまける事ができるだけいいのかもしれません。普段はおとなしい人たちのほうが、いざ切れると怖いんですよね。リンキン・パークのサウンドには、そんな、普段はおとなしい人の怒りの爆発が感じられます。「俺たちだってムカついてんだよ」って感じが伝わってきます。生まれながらのカリスマ性がなくてもロックスターになれる、ヘヴィなサウンドを叩きつけることができるという証明のようで、心地よさを感じる方も多いと思います。実際、ライブ映像を観ても、マジメで優しそうな目をしたメンバーばかりで、すぐに友達になれそうな人たちです。
チェスター・ベニントン (ボーカル)
マイク・シノダ (ボーカル、ギター、キーボード)
ジョー・ハーン (DJ)
ブラッド・デルソン (ギター)
ロブ・ボードン (ドラムス)
フェニックス (ベース)