１９世紀、アジアのシャム王国にイギリスからアンナという女性教師がやってきた。アンナは未亡人で一人息子のルイと共に、シャム国王の子供たちの家庭教師として雇われたのだ。イギリスの生活様式にこだわりプライドの高いアンナとシャム国王は、意見の相違から対立する事が多かったが、次第にお互いの立場を理解し親交を深めて行くのだが・・・。

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　１９９９年アメリカ作品。監督は『メラニーは行く！』のアンディ･テナント、出演は、 『タクシー･ドライバー』『羊たちの沈黙』のジョディ･フォスター、『グリーン･デスティニー』のチョウ･ユンファなど。植民地支配を画策するイギリスに翻弄されるシャム国王と、イギリスからやってきた女性教師の交流を描く人間ドラマ。文部省特選作品。

　ハリウッドのトップ女優ジョディ･フォスターと、アジアを代表するチョウ・ユンファ主演の感動作です。２大スター主演の恋愛作品かと思いきや、植民地支配をたくらむイギリスの陰謀に翻弄されるアジアの小国の厳しい立場、奴隷制の残る国での庶民の厳しい生活など、現実の厳しさがリアルに描かれ、ヒューマンドラマとしてだけでなくヨーロッパとアジアの国際関係の歴史、仏教徒の価値観なども学べる作品になっています。映像的にもアジアの美を丁寧に描き上げていて、アンナとシャム国王のダンスシーンなどは、映画史に残る美しい名場面になっています。また、シャム王を演じるチョウ･ユンファの存在感が圧倒的で、仏教徒としての行き方を語るシーンに説得力があり、深みのある作品になっています。ただし、チョウ･ユンファの存在感が強すぎるせいか、ジョディ･フォスターが演じるアンナがヒステリックに感じてしまい、アンナの正論が弱くなっているのが、ちょっと残念です。その点だけ無視すれば、色々な意味で楽しめ、学べる傑作だと思います。

自分が優れているという態度は美しくないが・・・

　自分の教養の高さを鼻にかけるアンナに向って王様が皮肉を言いますが、確かに傲慢な態度というのは美しくはありません。プライドの高い人間は、他人に不快感を与えていないかどうか考えた方がいいかもしれませんね。

人は自分の目でしか、世の中を見ない

　自分の都合のいい事しか信じない人も多いですが、ほとんど人が自分の価値観で世の中を見ているだけで、客観的に世の中を見ることが出来る人は少ないような気がします。

仏は、『生は苦しみ』と・・・

　仏教では生きることは苦しみと教えています。病気や怪我による身体的な苦痛、老いの苦痛などなど、ちょっと悲観的過ぎるかもしれませんが、ある意味では、人間は生まれてから死ぬまで苦しみの連続なのかもしれません。

生まれ変わるごとに、我々仏教とは過ちから学ぶ

　仏教とは輪廻転生、生まれ変わりを信じています。前世での失敗を繰り返さないように生まれ変わるごとに賢くなり、同じ過ちを犯さないように学んでいればいいんですが、ほとんどの人が昨日の失敗をまた繰り返して進歩できないのが現実のような気がします。

 

タプティムの処刑

　仏の道を選んだタプティムの処刑シーンは、国王、アンナなどの複雑な感情がシンクロする名シーンだと思います。つらい場面ですが、それぞれの感情の描写は秀逸です。

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