ハロウィーンの前日、結婚式をひかえたカップル、エリックとシェリーは、不良グループに襲われ殺されてしまう。その一年後、蘇ったエリックは、自分たちを襲った人間に復讐をはじめる・・・。

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　１９９４年アメリカ作品。監督は『アイ・ロボット』のアレックス・プロヤス、主演は、『燃えよドラゴン』の主演で有名なブルース･リーの息子ブランドン･リー。恋人を殺された男が蘇り、復讐をはじめる姿を描いたオカルトホラー作品。

　死があまりにも残酷な時、カラスは、その不条理を正そうと魂を連れ戻す・・・。こんなオカルト的な発想をテーマにした作品ですが、ホラー映画としての雰囲気を楽しめるだけでなく、泣ける感動作です。主人公は、地上げ屋に雇われたチンピラたちに襲われて、結婚式の前日に殺され、彼の恋人もレイプされて殺されてしまうという復讐の動機を持っていますが、やられたから、やり返すという復讐だけでは、これほど感動的な作品にはならなかったでしょう。霊界から戻ってきた主人公エリックは、恋人のシェリーが感じた苦しみを体感し、復讐をはじますが、復讐だけでなく、取り残されて孤独を感じている親友のサラや、彼女の母親を幸せに導こうとしていて、霊界から蘇った霊というよりは、天使のような存在にすら感じられます。そして、不幸な最期だったエリックとシェリーの愛は、誰にも引き裂く事のできない至福の愛であるというテーマは、恋愛映画として観ても感動的です。オカルトホラー作品にしては恋愛的な要素の強い作品なので、グロテスクな描写を期待する方にとっては、迫力に欠けるかもしれませんが、恋愛映画として、感動作として考えれば最高の作品だと思います。ホラー映画なのに、何度観ても泣ける名作です。こんなに泣けるホラー作品は、他にはありません。

この街は天災に襲われ必要がある

　あまりにも悪人が増えてしまった為、ソドムとゴモラという町が、神の怒りによって滅ぼされたという話が聖書に出てきますが、この作品の舞台となっている町も、悪人に支配された酷い町です。一般的には、人口の多い都市で退廃した町が多いと思いますが、都会でなくても酷い町もあります。類は友を呼ぶのか、極端に人間性の悪い地域では、同じようなタイプの人間が多く、最悪な地域性を形成している場合もあります。もし、そんな町に住む事になって、こんな町は天災に襲われればいいと感じたら、さっさと引っ越してしまった方がいいでしょうね。

母親とは、子供にとって神の別名なんだ

　サラの母親にエリックが警告します。子供にとっては、自分を愛し育ててくれる母親は、神様のような存在で、一番信頼できる存在なのかもしれません。子供の気持ちを考えずに自分勝手な生活をしている親には、耳が痛くなるセリフだと思います。

３０時間の苦痛

　この作品の中で最も衝撃的だったのが、蘇ったエリックが、事件の黒幕であるに、殺されたシェリーが味わった３０時間の苦痛を体感させる場面。人を裏切ったり苦しめたりする人間は、他人の痛みや苦しみを全く理解できないようなので、こういう形で体感させてやるのが一番いいと思います。残念ながら、サイコメトリストという特殊能力を持った人しか、こんな風に他人の感覚を体感する事はできませんが、『ブレインストーム』という映画で描かれているような、他人の感覚を体験できるマシンが開発されれば、犯罪者に被害者の苦痛を体感させる事も可能になります。被害者が味わった苦しみと全く同じ苦しみを加害者にも体感させるのが、一番いい刑罰のような気がします。

 

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