２０３５年のアメリカ、シカゴ、高性能の人間型ロボットが、一般家庭にも普及し、労働力として定着していた。ＵＳロボティクス社は、新製品として次世代家庭用ロボットＮＳ−５を発表しようとしていたが、ロボット工学で有名な科学者がＵＳロボティクス社のビルで、殺害される事件が起きてしまう。ロボット嫌いで有名なスプーナー刑事が事件の担当者になり、ロボット心理学者のカルヴィン博士の協力の下に操作をはじめるのだが・・・。

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　２００４年アメリカ作品。監督は『クロウ』のアレックス・プロヤス、出演は、 『メン･イン･ブラック』『アイ･アム･レジェンド』のウィル･スミス、『コヨーテ･アグリー』『リクルート』のブリジット･モイナハン、『トランスフォーマー』シリーズのシャイア･ラブーフなど。ロボットが進化した時代を背景に、殺人事件の謎を追う刑事を描いたＳＦサスペンス作品。

　近未来、高度な頭脳を持つ人間型ロボットが、人間のように感情を持つまでに進化するというアイディアは、『マトリックス』などでも取り上げられているので、独創的なアイディアとは言えませんが、ウィル･スミスが演じるアナログ人間の刑事と、ブリジット･モイナハンが演じる合理主義で理論派の女性化学者が極端に対照的に描かれて、コメディ的な要素が強くなっている事と、人間の文明に対する批判より、感情に支配される人間の悲哀が描かれているという点で面白い作品だと思います。主人公のスプーナー刑事は、１９７０年代の音楽を愛聴し、レトロなファッションを貫くアナログ人間、一方、女性科学者のカルヴィンは、感情を押さえて理論重視の生き方をしているマジメ人間。この対照的な組み合わせによって、ウィル･スミスのコミカルなキャラクターが最大限に生かされていて、二人のやりとりが、コメディ的な要素のポイントになっています。また、サスペンス作品としては、殺人事件の犯人は誰なのか？なぜスプーナー刑事はロボットを嫌うのか？などの謎が好奇心をかきたててくれますし、映像的にも、２，３０年先の近未来の風景としては違和感のないスタイリッシュな映像が楽しめます。そして、はみ出し者を排除しようとする社会に対しての皮肉や、人類に対して反抗しようとするロボットの姿も描かれていますが、どんなに科学が進歩しても、感情に支配されてしまうのが人間の美しさであり、悲しみであるというテーマには、安堵感を感じさせられます。ただ、ロボットのプログラムの中のバグが感情を形成するという理論は、『マトリックス･リローデッド』と同じなので、斬新さはありませんし、物語のオチにも、それほど驚きは感じられません。また、ロボットとのアクションシーンもアニメ的に処理されているのでリアリティなく、『マトリックス』のような映像的なリアリティや、ＳＦ映画としての革新的な発想は期待しない方がいいでしょう。

感情に従ったのか？珍しいね

　理論派で合理主義な生き方をしてきたカルヴィン博士は、ルーズで不真面目なスプーナー刑事を軽蔑しますが、ロボットのサニーに対して愛情を感じはじめ、人間的な感情に従って行動するようになります。冷徹で無表情だったカルヴィン博士の表情の変化が印象的です。

いつ擬似人格は、魂の苦悩を知るのか？

　ロボットが人格を形成し、感情を持つという事は、喜怒哀楽の感情を持ち、その感情に支配されてしまうという事です。人間が感じる魂の苦悩を知り、体感できるというのであれば、魂が宿ったと言えるかもしれません。それがロボットにとって、幸せなのかどうかは、分りませんが・・・。

 

目をつぶって撃ってたぜ

　銃を使った事が無いカルヴィン博士が、マシンガンを乱射しますが、目をつぶったまま撃っています。たぶん、この作品で一番笑えるシーンだと思います。チョイ役で出演しているシャイア･ラブーフが笑わせてくれます。

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