銀行員のサム・ウィートは、恋人のモリーと同棲をはじめ、幸福な毎日を送っていたが、ある夜、暴漢の襲われ、モリーを守ろうとしたサムは、殺されてしまう。肉体を離れたサムの魂は天国へ行くことを拒み、モリーを見守ろうとするが、ゴーストになってしまったサムは、彼女に話す事も守る事も出来なくなっていた。モリーを見守っていたサムは、自分を殺した男を発見し、その男の名前と住所を突き止め、霊媒師のオダ・メイに頼んで、モリーに危険が迫っていることを伝えようとするのだが・・・。

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　１９９０年、アメリカ作品、監督は『トゥルーナイト』などのジェリー・ザッカー、出演は、『アウトサイダー』『ハートブルー』などのパトリック・スウェイジ、『セント・エルモス・ファイアー』『幸福の条件』などのデミ・ムーア、そして、『天使にラブソングを』のウーピー・ゴールドバーグなど。麻薬がらみの事件で殺された男が、ゴーストになってからも恋人を守ろうとする姿を描いたラブサスペンス。

　何度もテレビ放映されている恋愛映画の傑作ですが、実はサスペンス作品で、コメディ的な要素も強いので、恋愛映画に興味の無い方でも楽しめる作品です。やはり、死んでからも恋人を見守りたいという純愛的な要素が目立つ作品ですが、主人公がなぜ殺されたのか？という謎には、銀行で行われていた麻薬がらみの現金の洗濯という現実味のある犯罪が絡んできますし、インチキ霊媒師だったオダ・メイが、突然、霊の声が聞こえるようになり、モリーにサムの言葉を伝えようとして苦労する場面は、コメディタッチで描かれているのでかなり笑えます。そして、人間が死んだ後に肉体を離れ、天国へ行く魂と地獄に引きずりこまれる魂が描かれているので、死後の世界に興味のある方にとっては、本当かどうかは別にしても、可能性としては好奇心を満たしてくれると思います。また、霊になってしまった後に、言葉も伝えられない、物質に干渉することもできない、自分が死んでしまったという自覚が持てないなどの様子は、霊になったら、こんな風になるのかもしれないと感じさせてくれます。霊が物質を通り抜ける場面では、霊が物質の分子構造と同化してしまうような、なかなかリアルな描写もあり、細部にわたって丁寧に描かれているので、子供だましのお化け映画という低レベルの映画になっていないのも好感が持てます。勿論、恋愛映画としても最高なので、特に女性にとっては、死んでからも愛してくれるほどの純愛というのは泣けると思います。この作品のエンディングは、後に韓国映画の傑作『僕の彼女を紹介します』でも、参考にされているみたいです。それにしても、デミ・ムーアのファッションセンスは、相変わらず抜群です。

天国より現金がいい？

　インチキ霊媒師だったオダ・メイの本音ですが、爆笑ですね。日ごろから貧乏している人は、目先の損得ばかりに気を取られて一番重要な事や本質的な事に気がつきません。ギャグとして使われている言葉ですが、私たちのほとんども、同じように目先の事に気を取られて、本当に自分にとって有益な事を後回しにしてしまっているのかもしれません。

 

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