マフィアの会計係として働いていたジャックは、ＦＢＩにマフィアの情報を漏らした事がばれて、命を狙われていた。ジャックは、妻や子供たちを連れて逃亡しようとするが、マフィアの手下に追い詰められて殺されてしまう。グロリアは、ジャックたちが殺される直前に、ジャックの息子のフィルを預かるが、フィルがマフィアの裏帳簿を持っていたために、マフィアに追われ逃亡する事になる・・・。

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　１９８０年アメリカ作品。監督は『こわれゆく女』のジョン・カサヴェテス 、主演は、『きみに読む物語』のジーナ･ローランズ。マフィアに殺された友人の子供を預かった女性の逃亡を描いたバイオレンスアクション。

　女性が主役のバイオレンスアクションとしては最高傑作でしょう。とにかく主役のグロリアを演じているジーナ･ローランズの迫力が凄い！彼女の名を一躍世界に知らしめた代表作であり、彼女以外には到底演じきれないであろう存在感が、この作品の最大の魅力になっています。男を殴りつけ罵倒するジーナ･ローランズの迫力は、ヘタな男より凄味があり、バイオレンス作品としての映像のリアリティを高めています。また、子供嫌いの主人公グロリアが、子供と一緒に逃亡する間に母性本能を目覚めさせる心の変化や、若い頃にマフィアのボスの愛人として派手な生活をしていたグロリアの中年になってからの悲哀など、人間味溢れるドラマとしても傑作です。感動のドラマとしても、バイオレンスアクションとしても楽しめる傑作だと思います。マーティン･スコセッシ監督の名作『タクシー･ドライバー』のような７０年代の空気が漂う作品なので、古い映像が苦手な方には、ちょっと我慢が必要で、フィルを演じるジョン･アダムスの演技力がゼロなのには、ちょっとイライラさせられるかもしれませんが、アクション映画の傑作として時代を超えて愛される名作である事は間違いないでしょう。

　やっぱりジーナ･ローランズが凄いです。私も荒っぽい性格なので実生活でバイオレンスに巻き込まれることが多かったんですが、これほど迫力のある女性は、実生活でも映画でも観たことがありません。これほど凄味があると、私も頭を下げてしまいそうです。この作品での印象があまりにも強烈なので、ジーナ･ローランズが他の作品に出演しても、どうしてもグロリアのイメージが頭から離れないのは私だけでは無いと思います。

生きるってのは大変な事よ、でも・・・

　重みのあるセリフです。この作品を最初に観た頃は、まだ社会の荒波にもまれていなかったので、何とも思いませんでしたが、歳をとって生きていく事の難しさを身を持って経験すると、この言葉の重みを痛感します。生きていくのは大変ですが、家族、友人など愛する人や、生きる希望があるから、何とか生きていけるんでしょうね。

夢を見てると思うのよ、何もかも夢だって

　親しい人間の死や、信じられないような残虐な行為を見た時は、すべて悪い夢で、現実ではないんだ！と自分に言い聞かせたくなります。モラルが低下して人間性が失われている現代社会では、信じられないような事件が毎日のように報道されていますが、そんな事もすべて夢だったらいいのに・・・。