音大を卒業してピアニストとして活躍していった柏木ゆりは、親友の松山はる子に頼まれて故郷の中学校の臨時教員として帰郷する。松山の産休の代理の教師として合唱部顧問も担当する事になるうが、柏木は、東京でのある事件のせいでピアノを弾くことができなくなっていた。合唱部の生徒たちにも素っ気無い対応をする柏木だったが、歌うことが大好きで一生懸命に生きている生徒たちに接するうちに真剣に指導するようになっていく・・・。

 

　２０１５年日本作品。監督は、『陽だまりの彼女』の三木孝浩、出演は、『ハナミズキ』の新垣結衣、『ＢＥＣＫ』の桐谷健太、『陽だまりの彼女』の葵わかななど。『手紙〜拝啓 十五の君へ〜』の作者であるアンジェラ・アキさんのドキュメンタリーを元にした中田永一さんの小説を実写映画化した青春映画。ぴあ映画初日満足度第１位。

　１９５４年に公開された日本映画の名作『二十四の瞳』と同じコンセプトを持つ作品ですが、現代社会で、それぞれ様々な悩みを抱えながら生きる中学生たちと、大きな喪失感から立ち直れない教師の交流を通して、誰もが共感できる感動の物語になっています。ランジェラ・アキさんの名曲『手紙〜拝啓 十五の君へ〜』の魅力を最大限に生かしていますし、主演の新垣結衣の魅力、実際にオーディションで選出された生徒たちの初々しい笑顔と歌声、そしてエキストラとして出演している大勢の中学生の表情の穢れの無い美しさは秀逸です。合唱部の生徒たちとピアニストの教師を主人公にした作品なので、音楽ファンの方には最高の作品だと思いますが、生徒たちのそれぞれの家庭環境の悩みを描かれていてるので音楽ファンでなくても感動できるドラマとして楽しめると思います。ぴあ映画満足度ランキング１位は伊達ではありません。誰にでもおすすめできる感動のドラマです。強いて難点をあげれば、泣きすぎてしまうところでしょうか。 悩みがあって泣きそうな人、負けそうな人、消えてしまいそうな人には特にオススメです。きっと生きる勇気を分けてもらえます。主演の新垣結衣さんは本当にキレイですし、登場人物の笑顔の美しさ、長崎県の美しい風景なども楽しめるのでビジュアル的な意味でも最高峰の映画です。もう１００点満点あげてもいいですね。

　いやー泣きました。もう後半から泣きっぱなしで、何度観ても泣いてしまいますし、アンジェラ・アキさんの歌う主題歌を聴いただけでも泣けてきます。メインの登場人物のほとんどが１５歳くらいなので若い方の方が共感できるかもしれませんが、『生きてる意味って考えたことありますか』なんてセリフからも分かるように、人間の生き方についても考えさせられる深いテーマが根底にあるので、どんな年代の方でも楽しめると思います。私も音楽が好きで、楽器を演奏するので音楽を愛する人の気持ちは理解できますし、誰の為に演奏するのか、何の為に演奏するのかというテーマについても考えさせられました。私の場合、楽器を練習したり、アレンジを考えたり、演奏をイメージする時に、一番好きな人に聴かせたいという思いでプレイしていたという事を、最近自覚しました。その最愛の人を失って、すっかりプレイする事に意味が無いように思えて演奏意欲を失くしてしまい、今は、バンドのメンバーに頼まれて仕方なく演奏しているだけです。聴いて欲しい人を失ってしまうと、音楽も虚しく思えてしまう事があります。でも、音楽の持つ大きな力が、失意に沈む人を慰めてくれるかもしれません。挿入歌の『手紙〜拝啓 十五の君へ〜』の歌詞にはムダな言葉が一つもありません。全ての言葉に意味があり、全てがメッセージになっています。

音楽は誰かを救ってあげられると思う

　音楽を愛する人は、大きな栗しみ、試練によって落ち込んでいる時、音楽がきっかけで立ち直れる事が良くあります。落ち込んでいる時に励ましてくれるような曲、何か重要な事を思い出させてくれるような曲、聴いているとエネルギーを分けてもらえるようなパワフルな曲など、音楽には娯楽以上の力を持っているような気がします。

みんなおってくれて良かった

　愛する家族や友達はもちろん、自分の能力を高めてくれるライバル、自分が成長する為に必要な試練を与えてくれる嫌な奴、自分の周りにいる人たち全てに感謝できるようになれれば最高ですね。

逃げてたら誰も救えないし、誰も救ってくれない

　悩みから逃げたいと思うのは仕方ないですね。今は厳しい世の中ですし、これからもっと厳しくなるでしょうから。でも、逃げて後回しにしても、結局最後には対峙しなければならない問題もあります。困難から逃げていると、孤立して誰の役にも立てず、自分に救いの手を差し伸べてくれる人にも背を向ける事になってしまいます。