トルコのイスタンブール空港、２キロのハシシをアメリカへ運び出そうとしたアメリカ人の青年ビリー・ヘイズが逮捕された。当時のアメリカとトルコの緊迫した関係の影響もあり、４年の懲役刑を言い渡されたビリーは、異国の地で恐ろしい環境で服役する事になる。服役して３年余りが過ぎた頃、なぜか裁判がやり直される事になり、ビリーは、アメリカとトルコの政治のかけひきに利用されてしまい、もうすぐ釈放されるはずだったビリーは、裁判のやり直しで刑期３０年の判決を受けてしまう。異国の地で恐ろしい環境で服役していたビリーは、精神的にも肉体的にも限界に達し、脱獄を決意するのだが・・・。

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　　１９７８年イギリス･トルコ合作。監督は『フェーム』『ザ・ウォール』などのアラン・パーカー、主演は、『炎のランナー』のブラッド・デイヴィス。麻薬密輸の罪で逮捕されたアメリカ人青年が体験した実話を元にした衝撃的な作品。全世界に衝撃を与え、日本でも上映禁止、放映禁止になった問題作です。

　刑務所内の悲惨な状況の描写に関しては、この作品以上のものは無いでしょう。刑務所の中で生きることが、どれほど恐ろしい事なのかが生々しく伝わってきます。異国の地で麻薬がらみの犯罪で逮捕されてしまうという設定では、『ブロークダウン・パレス』なども同じですが、この作品の恐怖、衝撃はただ事ではありません。撮影中のスタッフも、気分が悪くなってしまったというエピソードが残っているほどの残酷なシーン、目を背けたくなるような生々しさは、今観ても古さを感じさせません。そして、国際情勢によって人権が、これほど軽く扱われ、政治に利用されてしまうと言う社会的な問題も衝撃的です。アラン・パーカー監督の作品は、情け容赦の無いリアルな描写がセールスポイントですが、この作品は特に酷く、あまりにもリアルな暴力シーンが多いので、食事中、食後には鑑賞しない方がいいと思います。

逃げるしかない

　罪を犯してしまった為に刑務所に収監されるのは仕方が無いですが、この作品の主人公の状態は異常です。映画用の脚本でおおげさに描かれている部分があるにしても、３年以上こういう状況が続けば、脱獄を考えない方がおかしいでしょう。

放映禁止

　この作品を観たら、トルコに旅行をしようとは思わなくなるでしょう。と言うより、絶対にトルコには行きたくないと思うはずです。あまりにも治安が悪く劣悪な環境としてトルコが描かれているので、この作品の日本での上映、テレビ放映には、トルコ大使館からの圧力で、上映期間の短縮、テレビ放送時の大幅なカットなど様々な問題が発生しました。この作品は、かなり脚色されているようなので、この作品で描かれているトルコのイメージをそのまま鵜呑みにしない方がいいと思います。

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