特殊部隊の優秀な兵士として困難な任務こなしてきたジョン・ランボーは、今では、タイの北部のジャングルで、ボートによる運送業、へビ狩りなどをしながら、ひっそりと暮らしていた。隣国のミャンマーでは、人権弾圧が続き、軍事政権が少数民族カレン族を虐殺、土地や資源の略奪を繰り返していたが、キリスト教系NGOが現地の支援の為にやってきた。ＮＧＯのメンバーたちは、地元の地理に詳しいランボーにミャンマーへの案内を頼み、ランボーとNGOのメンバーはミャンマーへの潜入に成功するが、NGOのメンバーたちは、軍隊に捕らえられてしまう・・・。

 画像安定装置でダビング成功！

　２００８年アメリカ・ドイツ合作。監督・脚本・主演は『ロッキー』シリーズの主演で有名なシルベスター・スタローン 。以前、特殊部隊に所属していた優秀な兵士ランボーが、軍隊に拉致されたＮＧＯのメンバーを救う為にミャンマーでの戦闘に巻き込まれてしまう姿を描いた戦争アクション。『ランボー』シリーズの４作目。

　『ランボー』シリーズの２作目、３作目が商業的な成功を狙った娯楽作品になってしまった事を後悔していたシルヴェスター･スタローンが、自ら製作・監督・脚本・主演した意欲作です。今回は、主役のランボーを特殊能力に優れたヒーローとして描くというよりは、アジアでの内戦、虐殺などの現実をベースに、人間不信に陥ったまま生きているランボーが、ＮＧＯのメンバーとの交流から人間性を取り戻していく姿を描いています。映画の冒頭から虐殺シーンの実写映像ではじまり、戦闘シーンでは、腕や足がバラバラに飛び散るなど生々しい映像が多く、Ｒ−１５指定の作品になりましたが、戦争や虐殺の現実をリアルに伝えるという意味では、かなり成功していると思います。そして、世界中で起きている内戦や虐殺によって犠牲になっている人々を救う事は可能なのか？世の中は変えられるのか？というシリアスなテーマもあり、１作目の『ランボー』と同じぐらいの衝撃を感じます。ストーリーはシンプルで、意外な展開などはありませんが、『ランボー』シリーズの２作目、３作目の低俗な仕上がりにガッカリした人にもオススメできる作品です。ただ、実写映像、戦闘シーンは、気分が悪くなるほど生々しい映像なので、残虐な映像が苦手な人はパスした方がいいでしょう。

努力すれば変えられる

　ＮＧＯのメンバーがランボーに意見をしますが、ランボーは相手にしません。世の中の現実を見てきたランボーにとっては、お金持ちのお坊ちゃま、お嬢さんの言葉は軽すぎのかもしれませんが、何の努力もせずに傍観していたら、悪人の思うがままの世の中になってしまいます。個人レベルでも、社会全体でも、人間の強い意志と努力があれば、きっと・・・。

人を信じられなくなってしまったのね

　戦争で多くの友人を失い、上官や政府に裏切られ、母国の人に後ろ指を指されて生きてきたランボーは、誰も信用できなくなり、自力で生きています。人に裏切られ続ければ、人間不信になっても仕方が無いと思いますし、誰も信じられない人生というのも悲しいですが、現代社会では、ランボーと同じように人間不信に陥っている人は多いと思います。

 

続編が決定

　この作品がヒットして、続編の製作が決定しました。本作で制作も担当していたシルヴェスター･スタローンにとっては、この作品がヒットしないと、次回作の制作費が作れないといった事情もあったようですが、予想通りのヒットで、『ランボー５』も、シルヴェスター･スタローンが製作・監督を担当するようです。

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