女子大生のジヘは、演劇部に所属する先輩サンミンに密かに思いを寄せていたが、彼女と同じようにサンミンに想いを寄せる友人に頼まれて、サンミン先輩へのEメールの代筆を引き受けることになる。そんなある日、ジヘは、古い本と共に、母ジュヒが大切にし保管している古い手紙の束を見つける。そこには、母ジュヒの結ばれる事がなかった初恋の物語があった・・・。

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　２００３年、韓国作品。監督は、『猟奇的な彼女』『僕の彼女を紹介します』のクァク・ジェヨン、主演は、『私の頭の中の消しゴム』などに主演しているソン・イェジン。主人公の女子大生の恋愛と、母親の悲恋の物語を描いた恋愛映画の傑作。

　この作品が韓国映画の中ではベスト！と感じている方も多いと思います。韓国映画と言えば、悲恋をテーマにした恋愛映画が多いですが、この作品は、悲恋だけでなく世代を超えた運命的な絆を描いた傑作で、暗い気持ちのまま終わらないところがいいですね。主人公の女子大生ジヘの恋愛と、ジヘの母親ジュヒの若き日の初恋を交互に織り交ぜながら物語りは進んでいきますが、１９６０年代に青春時代を過ごした人の感覚と、現代に生きる若者の感覚のギャップも描かれていて、１０代から５０代ぐらいまで幅広い年齢層の方が共感を持てる作品になっています。また、韓国映画なので、当然韓国が舞台になっていますが、豊かな自然の中で川遊びをしたり、畑からスイカを盗んだり、お化け屋敷を探検してみたりと、韓国だけではなくアジアに住む人なら、誰もが身近に感じられるであろうエピソードは、私たち日本人にも、懐かしさと現実味のある感動を与えてくれます。母と娘のそれぞれの恋愛を描いていますが、母親ジュヒの悲恋が強烈です。ジュヒが生涯で唯一愛したジュナは、友人テスとの友情を取るかジュヒへの愛を取るかという三角関係に苦しみ、さらに戦争によって二人の距離が広がってしまう・・・。こういうストーリーは、それほど珍しい物語ではありませんが、出演者の名演によって、純愛の美しさ、純愛であるがゆえの苦痛が、痛いほど伝わってきて涙無しに観る事は出来ません。こういう純愛感覚もアジアに住む人間独特の感性なのかもしれません。クァク・ジェヨン監督らしいユーモアもあり、笑いと涙と感動の極上の作品なので、誰にでもオススメできる作品ですが、現代のストーリーとして描かれる女子大生ジヘの物語で使われているフォークソング風のＢＧＭは、日本人にとっては、ちょっと古臭く感じるかもしれません。こういうタイプの曲は、日本では１９７０年代に流行った曲調なので、現代風の音楽とは言えず、この点だけは、ちょっと韓国と日本の流行のギャップが感じられます。

話したい事があったのに、いざ会ってみると言葉が出てこない

　戦争という歴史の流れに引き裂かれたジュナとジュヒが再会しますが、なかなか言葉が出てきません。愛する人との再会という待ちわびた瞬間ですが、会う前には色々と話したい事を考えて、眠れないほど興奮しているのに、いざ目の前に相手が現れると、頭が混乱して、考えていた事をすべて忘れてしまい会話が続かなかったりするんですよね。

 

私は今、泣いてるのよ

　戦争から帰ってきたジュナが、ジュヒと再会するシーンは泣けます。戦争での後遺症を隠そうとするジュナと、ジュナの異変に気づいてしまったジュヒの表情が涙腺を刺激します。何度観てもつらくなります。

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マンフレッド・マン

　この映画の中で、マンフレッド・マンというバンドの名曲『Do Wah Diddy Diddy』が使われていますが、６０年代を象徴するような曲で、強く印象に残ります。さすがに、今聴いてみると、グループサウンズ丸出しのダサいサウンドでマンフレッド・マンのＣＤを買う気にはなれませんが、この映画のサントラにも収録されているので、この曲が気に入った方は、マンフレッド・マンのアルバムより、この映画のサントラ盤がオススメです。

 

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