アメリカ、ジョージア州の陸軍基地で、キャンベル将軍の娘エリザベス大尉の変死体が発見され、陸軍犯罪捜査部のポールが事件の真相を探るべく捜査を開始する。エリザベス大尉の身辺を捜査するにつれ、彼女の異常な私生活が明らかになっていくのだが・・・。

映画見るなら　⇒スカパー！おまかせプラン

 

　１９９９年アメリカ作品。監督はトゥームレイダー』などのサイモン・ウェスト、出演は、 『パルプ・フィクション』『フェノミナン』などのジョン・トラボルタ、『張り込み』などのマデリン・ストウなど。女性軍人の変死事件の真相を描いたサスペンス作品。

　ジョン・トラボルタをはじめ出演者の存在感、演技力によって完成度の高い作品になっていますが、名誉や権力に執着する人間の虚栄心によって傷つけられた人間の悲劇の姿が、あまりにも痛々しく、人間の愚かさに怒りを感じてしまう作品です。犯人はいったい誰なのかという謎解きに関しては、エリザベス・キャンベルの陰惨な過去による乱れた性生活のせいで、最後まで犯人が分らない構成になっているので、十分に楽しめます。また、気が滅入るような事件が明らかになっていくので、全般的に重苦しい雰囲気ですが、捜査を担当するポールのパートナーが、彼の昔の彼女で、二人の微妙な関係がコミカルに描かれている部分が、作品に明るさを加えて、暗くなり過ぎないように工夫されています。しかし、変死体で発見されるエリザベス・キャンベルの悲惨な過去には、かなり気が滅入りますし、名誉や権力に執着する愚かな人間が、どれほど人を傷つけるかというテーマには、激しい怒りを感じてしまうので、正義感の強い方は、かなり血圧が上がってしまうと思います。ドロドロとした人間関係や、人間の醜い心、サスペンスとしての醍醐味を楽しみたい方にはオススメできますが、落ち込みたくない方や、血圧を心配している方にはオススメできません。

ハッタリは弱い者が使う手だ

　捜査を担当したポールが容疑者に圧力をかけますが、軽くかわされてしまいます。弱い犬ほどよく吠えるとも言いますが、あまり凄味をきかせて高圧的な態度に出ても、自分の弱さを証明しているようなもので、洞察力に優れている人間には通用しませんね。

欲しいものがある時は、戦うことも必要よ

　捜査官のポールとパートナーのサラの会話は笑えます。サラはポールに対して微妙な女心を語りますが、デリカシーの無いポールには、サッパリ通用しません。私もデリカシーに欠けるので、女心は理解できませんが、このセリフは、繊細な女性の心理を表現した言葉なのかもしれません。

 

エリザベス・キャンベルの思い出

　エンディングの軍隊式葬儀の場面で、エリザベス・キャンベルの幼い頃の写真のカットが織り込まれています。汚れなく、あどけない表情の写真の数々が、彼女に起こった事の悲劇を強調し、人間の虚栄心の犠牲になったエリザベスの人生の儚さに心が痛みます。

 画像安定装置でダビング成功！