杉山正平は、平凡なサラリーマンだが、庭付き一軒家も手に入れて、妻と娘と共に幸せに暮らしていた。ある日、帰宅途中の電車の中から見えるダンス教室の窓に、美しい女性が立っていることに気づき、彼女に会う為に、そのダンス教室でダンスを習い始めることになる。ダンス教師の先生の美しさに惹かれてダンスをはじめた杉山だったが、徐々にダンスの楽しさを実感するようになり、大会に出場する事になるのだが・・・。

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　１９９６年日本作品。監督は『シコふんじゃった。』などの周防正行、出演は『パコと魔法の絵本』の役所広司、この作品で映画デビューした草刈民代など。社交ダンス教室を舞台に、様々な人間のドラマを描いた感動作。

　日本アカデミー賞で賞を独占した名作です。社交ダンスという日本ではマイナーなテーマを題材にした作品なので、敬遠している方も居ると思いますが、社交ダンスに興味がなくても人間ドラマとして十分に楽しめて感動できる作品になっています。日本では、どちらかと言うとマイナーで、一般的な知名度が低い社交ダンスがテーマになっているので、作品中で基礎的な歴史や、専門用語などが解説されていて、社交ダンスの知識の無い方にも分りやすく編集されています。また、日本人の男性から８０％位の支持率を得られそうなルックスを持つダンスの先生にプロ･ダンサーの草刈民代、気が小さくてマジメなサラリーマン杉山に日本を代表する名優である役所広司、コメディ的な要素をほとんど引き受けている竹中直人など、個性的な俳優を適材適所で起用する事によって、日本人の感性に合ったハートウォーミングなドラマに仕上がっています。この作品の登場人物は、ダンス教室の美人先生以外は、ごくごく普通の人たちで、身近に感じられる庶民的なキャラクターばかりです。その庶民的な登場人物たちの、それぞれのダンスに対する情熱と、社交ダンスという共通の趣味を通して友情を育んでいく物語、自己中心的だったダンサーが踊る事の喜びと、信頼の重要性を学んでいく姿が、感動的です。竹中直人のキャラクターは相変わらず強烈で、良くも悪くも浮いていて、彼のユーモアには好き嫌いが分かれると思いますが、日本の映画史に残る名作である事は間違いないと思います。

好きも嫌いも無いさ、仕事だよ・・・

　部下に経理の仕事が好きかと聞かれた杉山は、こんな風に答えます。好きな事を仕事にできれば一番いいと思いますが、ほとんどの人は生活の為に仕事をしているだけで、情熱を持って仕事をしている人は、あまりいないのかもしれません。このセリフは、日本のサラリーマンの気持ちを代弁しているようにも聞こえます。

彼は最後まで自分のパートナーを守ろうとした

　ダンスに限らず、人生では、様々な形でパートナーと生きて行く事になります。仕事でのパートナーや、家庭でのパートナー、色々な人に支えられて生きて行く事になりますが、そんな自分を助けてくれるパートナーを自分以上に大切な存在と考え、守ろうとする気持ちこそが、人間の最も美し部分なのかもしれません。

ハリウッドでリメイク

　日本だけでなく世界中で高い評価を得た本作は、リチャード･ギア、ジェニファー･ロペス主演でリメイクされました。アメリカ的なユーモアも加えられていますが、かなり原作に忠実にリメイクされています。

●シャル・ウイ・ダンス（ハリウッド版）

 

 

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