遺言作成の仕事をしているジョンは、妻と二人の子供とともに、平凡ながら幸せに暮らしていた。ある日、帰宅途中に、ダンス教室の窓辺に立つ美しい女性を見かけたジョンは、彼女への興味から社交ダンスのレッスンを受けはじめる。最初は美人先生が目当てだったジョンも、ダンスを習い始めてから、ダンスの魅力に目覚め、ダンス教室の仲間たちと競技会に出場する事になるのだが・・・。

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　２００４年アメリカ作品。監督は『セレンディピティ』のピーター・チェルソム、出演は『天国の日々』『愛と青春の旅立ち』などの リチャード・ギア、『アウト･オブ･サイト』『メイド･イン･マンハッタン』などのジェニファー･ロペス、『グッドナイト･ムーン』『ノエル』のスーザン･サランドンなど。世界的なヒットとなった１９９６年の日本映画『Ｓｈａｌｌ Ｗｅ ダンス？』のハリウッド･リメイク作品。

　日本人の感性に合ったオリジナル作品と比べてしまうと、ちょっと満足できない部分もありますが、ハリウッド映画らしいギャグや、リチャード･ギア、ジェニファー･ロペスという二人のスターの魅力を楽しめる娯楽作として上質な仕上がりになっています。ハリウッド作品なので、全体的に明るく軽めの作品になっているので、一つ一つのエピソードに重みがなく、登場人物のキャラクターもアメリカ人らしいキャラクターに置き換えられています。特に主人公ジョンは、憧れの女性を高嶺の花と考える大人しい人物ではなく、自信に満ちて自己主張も強いアメリカ人らしいキャラクターとして描かれているので、オリジナル作品『Ｓｈａｌｌ Ｗｅ ダンス？』の主人公の杉山さんに共感を持った人にとっては、かなり違和感があると思います。また、ダンスシーンに関しては、オリジナル作品が、伝統、形式を重んじたエレガントだったものに比べて、開放的で現代的なダンスシーンが多くなり、アメリカ映画らしい明るい作風になっています。ハリウッド映画なので、日本人の感性に訴えかけるオリジナル作品と同様の感動は期待しない方がいいでしょう。しかし、逆に、ハリウッド映画ならではの感動のクライマックスシーンも用意されているので、オリジナル作品とは違う面で感動できる作品として楽しめると思います。

人は誓いを立てて、それを破る

　結婚についてシニカルなセリフが出てきます。パートナーを裏切る人間が多いのに、人はなぜ結婚するのかというテーマに、オリジナル作品には無い哲学感が加えられています。

幸せな生活を送ってて、それ以上を望んだ

　庭付きのマイホームを手に入れ、妻と子供たちと幸せな暮らしをしているジョンですが、何か満たされない感情があり、ダンスに夢中になります。愛する家族と平和に暮らし、物質的にも不自由の無い暮らしをしているんですから贅沢な気もしますが、全てを忘れて熱中できる趣味を持っている人、そんな趣味を求めている人も多いと思います。でも、考えようによっては、自分のエゴでしかないのかもしれません。ハリウッド版では、そんな自省の念が強く感じられます。

ハリウッド版製作のエピソード集

　オリジナル作品『Ｓｈａｌｌ Ｗｅ ダンス？』の脚本、監督を務めた周防正行さんが、ハリウッド版の製作にも協力したようですが、その時の日本とアメリカの違いや感動秘話を紹介した本が発売されています。日本人にとっては、やはりオリジナル作品の方が向いていると思いますが、２作品を鑑賞した後に読んでみると、一層楽しめると思います。

 

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