１９９１年３月湾岸戦争集結後のイラク、アメリカ兵のトロイは、イラク兵が隠し持っていたクウェートから盗まれた金魂の隠し場所が記された地図を発見する。トロイは、アーチー、チーフらの仲間と共に、アメリカ軍部に無断で地図に記された場所へ、金魂を探しに行くが、湾岸戦争終結直後のイラクは、反フセインの反乱軍とフセイン政権の正規軍との交戦で混乱していた。トロイたちが金塊を発見し撤退しようとした時、イラク軍が村人を銃殺するのを目撃してしまう・・・。

ネットで気軽にDVD CDレンタル　ぽすれん 

　１９９９年アメリカ作品。監督は『ハッカビーズ』のデヴィッド・O・ラッセル、主演は『ハッカビーズ』『ロック･スター』のマーク･ウォルバーグ、『アウト･オブ･サイト』『オーシャンズ１１』などのジョージ･クルーニー、そして、『トリプルX ネクスト・レベル』のアイス･キューブ。第１次湾岸戦争を舞台に、テンポのいいユーモアを交えた異色の戦争映画として絶賛されたコメディタッチの戦争映画です。

　一言で言えば、ポップな戦争映画！戦争映画というと、どうしても暗いイメージがありますが、この作品は、今までの戦争映画に無いポップなユーモアとテンポの良さ、また独自の映像処理で、コメディ系の映画としても楽しめる作品になっています。湾岸戦争に関する知識がなくてもコメディ映画として楽しめるという点で優れた映画だと思います。しかし、映画の柱となっているのは、やはり湾岸戦争の真実。監督のデヴィッド・O・ラッセルは、湾岸戦争に対して批判的な意見を持っているらしく２００３年に、湾岸戦争のドキュメンタリー映画『ソルジャーズ･ペイ』という映画も監督していますが、当時のブッシュ政権が石油の案的供給を目的にイラクに侵攻し、反フセインのイラク国民を利用して使い捨てにしたという事実を強調しています。独自の映像処理で色が薄く、砂漠の乾いた誇りっぽい空気感がリアルに伝わりますし、流れる血の色が、石油のようにドス黒く写っているのは、戦争によって流された血が、砂漠の原油のように見えるような演出なのかもしれません。

反乱をあおっておいて、

　クウェートに侵攻したイラク軍に対して、アメリカ主導の多国籍軍が湾岸戦争を起こしますが、サダム・フセインの独裁政権下で苦しんでいたイラク国民が立ち上がり反フセイン軍を組織します。多国籍軍は、この反フセイン軍と協力し、サダム･フセインを降伏に追い込みますが、戦争終結後には、反フセイン軍に何の援助もせず、サダム･フセインによって弾圧、虐殺が行われます。利用するだけ利用して、後は見殺しにするようなブッシュの政策が、分かりやすく描かれています。

生態系の破壊

　湾岸戦争が勃発した際に、ニュースでもよく流された油まみれの鳥たちの映像も出てきます。暗くなり過ぎないようなユーモアを交えていますが、オイルマネーの為に平気で人殺しをするような人間にとっては、鳥の生態系を破壊するぐらいなんでもないのかもしれませんが、いつ観ても気分が悪くなり、怒りがこみ上げてきます。

　《　検索用　》

ジョージ・クルーニー
マーク・ウォルバーグ
アイス・キューブ