人気ヘヴィメタルバンド、スティールドラゴンの熱狂的なファンであるクリスは、昼間はコピー機器のメンテナンスの仕事をしているが、スティール・ドラゴンのコピーバンドのヴォーカリストとしてライブ活動をしていた。完全コピーでの演奏を主張するクリスと、アドリブや、オリジナル曲の演奏をしたいと願う他のメンバーはトラブルが絶えず、結局クリスはクビになってしまう。ある日、彼にスティールドラゴンのメンバーから電話があり、脱退するヴォーカリストの後釜としてオーディションを受ける事になる。子供の頃からの憧れのバンドのオーディションで、緊張のあまり、歌い出しを間違ってしまうのだが・・・

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　２００１年アメリカ作品。監督は、『飛べないアヒル』『陽のあたる教室』のスティーブン･ヘレク。主演は、『ハッカビーズ』『ミニミニ大作戦』などのマーク･ウォルバーグ。アマチュアバンドのヴォーカリストが、憧れのプロバンドのヴォーカルとしてスカウトされて人生が激変する姿を描いた青春映画。

　８０年代のヘヴィメタルブームのパロディ映画で、当時大ヒットした曲をＢＧＭに、ロックスターの生活を、様々なエピソードを盛り込んで描いています。ヘヴィメタルファン、８０年代のロックのファンには最高の娯楽作品です。『あの頃ペニーレインと』などの映画でもロックスターの生活は描かれていますが、８０年代、ヘヴィメタルの全盛期ということで、より過激になっています。ホテルの窓からテレビを放り投げる、ホテルの家具を天井に貼り付けるなどのエピソードは、イギリスの有名なロックバンド、レッド・ツェッペリンのツアー中のイタズラがベースになっているようです。ストーリーには特に斬新さはなく、予想通りに展開していきますが、架空のバンドスティールドラゴンのライブ、バカ騒ぎ、さらに恋愛、友情など娯楽作としての要素がタップリと入っています。また、クリスの兄は警官をしていて保守的ですがマザコンだたりして笑えます。クリスの恋人役には、ブラッド・ピットの前妻、ジェニファー・アニストンがヘヴィメタルファンらしからぬファッショナブルな衣装で出演しています。

心から望めば、夢は本当にかなうんだ

　パロディ映画、コメディ映画として観た方がいいと思いますが、ちょっとだけ、希望を持たせてくれるようないいセリフも出てきます。クリスは、兄に「ガキじゃあるまいし、ロックスターになるだって？」とののしられ、バカにされますが、「必死でがんばれば、心から望めば、夢は本当にかなうんだ！」というセリフが、心に残ります。少ないながらも、実際に夢を実現している人はいるんですから、あきらめずに、夢に生きようという気にさせてくれます。さらに「因果応報か？」なんてセリフも出てきて、以外に深い話も楽しめます。

　ヘビメタはおしまい

映画がはじまってすぐに演奏されている曲は、レインボーの『ロング・リブ・ロックンロール』、その他にも、ＡＣ/ＤＣ、ボン・ジョビ、デフ・レパード、モトリー・クルーなどの曲がＢＧＭに使用されています。ヘヴィメタル全盛期の曲ばかりですが、映画の終わりのエンドロールで、ラップミュージックが主流になった今の音楽シーンに対して皮肉を込めたセリフが出てきます。ヘビメタファンの本音でしょうね。
　

　最初に観たときには気付かなかったのですが、ＤＶＤを購入してパッケージを見ると、レッド・ツェッペリンのドラマー、故ジョン・ボーナムの息子ジェイソン・ボーナム、ドッケンのギタリスト、ジェフ・ピルソンなども出演しています。映画音楽は元イエスのトレヴァー・ラヴィンが担当しています。スティール・ドラゴンというバンドは、この映画のための架空のバンドですが、 サウンドトラックアルバムに、この映画で使用されている曲が収録されているので、映画を観て、このバンドのファンになった方なら見逃せないと思います。

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