古代の中国。書生の青年ツァイサンは、旅の途中、宿に泊まる金もなく、今は廃墟となっている古い寺に泊まることになる。その寺には、インという道志が住んでいたが、夜になると魔物が出るという恐ろしい場所で、地元の人間は近寄ろうとしなかった。寺に泊まった夜、ツォイサンは、シウシンという美女に出会うが、彼女はロウロウという魔物の手先の幽霊だった・・・。

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　１９８７年香港作品。監督はチン・シウトン、出演は香港映画界を代表する名女優ジョイ･ウォン、『男たちの挽歌』『カルマ』のレスリー･チャンなど。若き書生と幽霊の恋愛を描いたファンタジーホラー作品。

　香港の作品としては久々の大ヒットとなった娯楽作品で、日本でも大ヒットし、主演のジョイ･ウォンの人気が急上昇しました。香港映画と言えば、日本ではジャッキー･チェン主演のカンフー映画に人気が集中していましたが、この作品は、恋愛的な要素が強いホラー映画で、コメディとしての要素も楽しめる娯楽作品として香港映画の新しいジャンルを切り開きました。アクションの面では、香港映画らしいカンフーアクションを楽しむことができるので、従来の香港映画ファンの期待も裏切りませんし、人間と幽霊の恋愛という結ばれる事の無い悲恋が涙腺を刺激し、アジアらしい仏教的、道教的な思想が反映されたセリフには、人間としての生き方についてヒントを与えてくれるような深い意味も込められています。ホラー映画としては、アジアに住む人にしか分からない、おどろおどろしい映像美があり、日本の怪談話にも通じる懐かしさを感じさせてくれますし、アジアの女性を代表するようなジョイ･ウォンの美しさは、彼女を観るだけでも価値がある！と思わせるほど魅力的です。１９８０年代の作品なので特撮映像は完成度が低く、コメディ的な要素が強い分、恐怖は感じられず、ホラー映画として観ると物足りなさを感じますが、恋愛映画として、アクション映画としては、かなり楽しめる娯楽作品だと思います。

愛こそが最も強力な武器

　武術を競い合おうとする人間に向って、ツォイサンが一言。ほとんどの宗教で説かれている事だと思いますが、人間にとって最も重要なのは、やはり愛なのかもしれませんね。

利益の為に利用し合う

　幽霊も人間と同じで、人を利用する・・・。ちょっと苦笑してしまいますが、この作品の舞台になっている古代中国の描写も、末世を感じさせる殺伐とした世の中として描かれていますし、欲望に振り回されて自分の利益しか考えなくなった人間を風刺しているようにも感じられます。互いに利用する為の人間関係というのも嫌ですが、そんな人間が多くなった世の中なら、イン道士のように世捨て人になった方が気が楽かもしれません。

ジョイ･ウォン主演でシリーズ化

　ブームになるほどアジア各国で大ヒットし、シリーズ化されました。元々は、続編の予定が無かったらしく、２作目、３作目ともに、本作の続編としての物語のつながりが弱く、コメディ色の強いアクションホラーというスタイルを継続しているだけで、主演のジョイ･ウォンの魅力に頼っているような作品になってしまいました。カンフーアクションや、ジョイ･ウォンの魅力を楽しむという目的であればいいと思いますが、この作品の続きの物語を楽しみたいと期待していた方にとっては、ちょっとアテ外れのシリーズになっています。

チャイニーズ･ゴースト･ストーリー２

チャイニーズ･ゴースト･ストーリー３

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