■　ストーリー　■

　元軍人で天才的な運転技術を持つフランクは、プロの運び屋をしながらフランスで暮らしている。自分の決めたルールを厳格に守り、完璧に仕事をこなしていたフランクだが、ある日、ルールを破って、荷物の中身を見てしまう。なんと荷物の中身は、美しい東洋系の女性だった・・・。

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　２００２年フランス作品。監督はルイ・レテリエ、製作、脚本はリュック・ベッソン。主演は『スナッチ』『ミニミニ大作戦』などのジェイソン・ステイサム、『クローサー』などのスー・チー。天才的な運転技術を持つ運び屋と犯罪組織との対決を描くアクション映画。

　犯罪組織が中国人の人身売買によって莫大な利益を上げているというシリアスな設定もありますが、ジェイソン・ステイサムの格闘技術とカーチェイス、そしてド派手なアクションを満喫できる娯楽作品です。ちょっと頭は薄いですが、男らしい凄味のあるジェイソン・ステイサムの魅力が生かされた作品で、車好きの男の美学も紹介されるなど、ハリウッド映画とは違うスタイリッシュなアクション映画になっています。また、リュック・ベッソンが脚本を担当しているのでオシャレなユーモアもあり、スー・チーの東洋的な美しさが絶妙なアクセントになっていて、アクションだけでなくコメディ的な要素やヒロインのセクシーな魅力も楽しめる贅沢な作品だと思います。登場人物の過去を深く掘り下げたような物語は無いので、泣けるような場面はありませんが、娯楽作品としてはＡ級の名作です。

俺は複雑でなくていい

　自分のルールを厳守し、几帳面なフランクですが、生き方は極めてシンプル。仕事を完璧にこなし、その報酬で好きな場所に住み、好きな車に乗る。会社や組織に所属していないので、上司や会社の都合に従う必要もなく、会社や上司に裏切られる事も無い生活は、理想的ですね。

ウンザリだ、政治の都合で、どんな努力も踏みにじられ・・・

　主人公フランクの過去は、ほとんど触れられていませんが、こんなセリフに、政治家や軍の上層部に対する不信感が感じられます。命令された任務を忠実に実行しても、政治の都合で努力が無駄になった過去があり、組織に所属する空しさを実感してフリーの仕事をしているのかもしれません。軍人でなくても、会社や、組織の中で働いていると、上の都合で企画が中止になったりして、こんな空しい気分になることも多いと思います。フランクの気持ちに共感できる人も多いのではないでしょうか？

 

 

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