ミシシッピーの田舎町スパルタで、警官のサムは、深夜のパトロール中に町の実業家が殺害されているのを発見し、署長のビル・ギレスピーに報告する。サムは駅のホームで列車をまっていた黒人を容疑者として逮捕、連行するが、その黒人はバージル・ティッブスというフィラデルフィア警察の刑事だった。誤認逮捕を認め、経験豊かなティッブス刑事の協力を求めるギレスピーだったが、黒人に対する偏見が強く、プライドの高いギレスビーは、ティップスの捜査方法に納得がいかず衝突を繰り返す。そして、町の有力者が容疑者に浮かび、トラブルを好まないギレスビーは捜査の中止を求めるが、ティップスは捜査を続けていく・・・。

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　１９６７年アメリカ作品。監督は『ジャスティス』『ザ･ハリケーン』などの社会派ノーマン・ジェイソン。主演は黒人俳優としてはじめてオスカーを受賞したシドニー・ポワチエ。人種差別の残るアメリカ南部を舞台に、人種問題をからめて殺人事件の捜査をスリリングに描いた傑作。

　黒人に対する人種差別が根強く残るアメリカ南部ミシシッピーを舞台にしているので、黒人に対する差別という問題がクローズアップされていますが、差別だけではなく、保守的で変化を望まない人間性や、権力者の横暴な態度など、アメリカでもっとも保守的な地域の問題点が浮かび上がる問題作です。はじめて観た時は、まだ子供だったので、刑事物としてのストーリーの面白さと、互いに反目しあいながらも、理解しあう男の友情に感動しましたが、あらためて観てみると、キング牧師が中心に活発化していた公民権運動の緊迫感が、そのまま映画に取り込まれたような時代の匂いが感じられ、新たな発見がありました。刑事物の古典的な作品としても最高傑作だと思いますが、社会派映画の得意なノーマン・ジェイソンの社会を風刺した作風は、大人向けの友情映画として観ても秀逸だと思います。

考え方まで白人と同じだな

　フィラデルフィア警察で働いているティップスは、実業家であり、有力者である男エンディコットを容疑者として追及しますが、権力者を、その地位から引きずりおろそうとする姿勢に、ギレスピーは驚き、あきれてしまいます。この言葉は、足を引っ張り合う白人社会と批判していると思いますが、都会で白人と同じような自由と、仕事を得ても、白人の悪い面までマネするようになってしまった黒人に対する強烈な皮肉ではないでしょうか。白人と同じだ！と言われた時のティップスの困惑した表情が、それを物語っています。

元気でな

　事件が解決し、汽車に乗って帰ろうとするティップスを、呼び止めギレスピーが一言声をかけるシーンが最高です。二人の笑顔が、とても魅力的で、言葉は少なくても、人間的なつながりの強さが感じられます。

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