ヘヴィでポップなアメリカンロック

　１９８０年発売、ＲＥＯスピードワゴンの最大のヒットアルバム。全米年間アルバム・チャート1位を記録し、全世界で２０００万枚以上のメガヒットとなりました。『キープ・オン・ラヴィング・ユー』『涙のレター』『テイク・イット・オン・ザ・ラン』などの大ヒット曲を収録。

　産業ロックの典型的なバンドとか、色々悪口を言われる事の多いＲＥＯスピードワゴンですが、ライブを中心にした活動でバンドとしての演奏力を鍛え上げていた彼らが、ポップセンスと演奏力の頂点とも言えるこの名盤を発売したのは１９８０年。まだＭＴＶが流行する前で、産業ロックという言葉が定着する前に発売されています。ＲＥＯスピードワゴンのヘヴィなギターサウンドとポップセンスが最高の形で結実し、時代が求めいていたサウンドにマッチした最高傑作として評価できるでしょう。当然の事ながら、このアルバムの大ヒットは『キープ・オン・ラヴィング・ユー』『涙のレター』『テイク・イット・オン・ザ・ラン』などのポップなメロディのヒット曲が収録されているというのが最大の理由だと思いますが、ヴォーカリストのケヴィン・クローニンのポップセンスとゲイリー・リッチラスのヘヴィなギターの調和が功を奏しています。後に、へヴィーなギターサウンドの曲を好むゲイリー・リッチラスとメロディ主体に作曲するケヴィン・クローニンの衝突によってゲイリー・リッチラスは脱退してしまいますが、二人の個性が対立せずに見事に融合して名曲の数々が生まれたような気がします。個人的には、ゲイリー・リッチラスのギターが、このアルバムの一番の聴き所だと思っているので、『涙のレター』『シェイキン・イット・ルース』の２曲は軽すぎるような気がしますが、ＡＯＲ系のバンドのようにプレイヤーのエゴ、演奏力を誇示するような事もなく曲に貢献しているのにも好感が持てます。１０００万枚以上のセールスを記録した名盤というのは、やはり特別な存在感があるものですが、このアルバムも産業ロックという悪意のある評論を跳ね返すだけのパワーを持っています。明るくポップなアメリカンロックのサウンドを楽しみたいという方にはオススメの名盤です。

　

　  　

 

■　テイク・イット・オン・ザ・ラン　■

　ゲイリー・リッチラスらしい情熱的なギタープレイが楽しめる名曲。やっぱりＲＥＯスピードワゴンと言えばこの曲！。ギターソロはシンプルですが、感情表現豊かなフレーズは一度聴くと病み付きになります。ゲイリー・リッチラス最高！

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30周年記念盤発売

　２０００万枚以上のセールスを記録した名盤なので廃盤にならずに発売中です。３０周年記念盤では、２枚組みになり、未発表テイク９曲も収録されています。もちろんオリジナル盤はリマスター音源。リマスターによる高音質音源に加えて、未発表テイク９曲が楽しめるという特別企画盤です。８０年代のロックを愛する方、このアルバムに思い入れの強い方には、この３０周年記念盤がオススメです。

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