産業ロック?
1971年にデビューしますが、1981年にアルバム『禁じられた夜』が、全米ナンバーNO.1を記録するまでは、ほとんど無名の存在でした。ポップなメロディの曲が多く、80年代、ロックの産業化が顕著になっていた時期に爆発的なセールスを記録した為に、産業ロックバンドの代表格として、一部の音楽評論家に酷評されますが、実は、デビュー当時から、1年に300回のコンサートという精力的なライブ活動を行い、着実にファンを増やしていった努力と根性のバンドです。売れ線狙いの曲を意図的に作っていたというより、ケヴィン・クローニンのポップセンスがファンに受け入れられて人気が出たバンドなので、産業ロックと呼ばれるのは可哀想な気もします。実際、今でも音楽性は変えずに活動していて、人気のある音楽の主流から外れてしまいマイナーな存在になっています。
デビュー当時から現在まで、何度もメンバーチェンジを繰り返していますが、黄金期と呼ばれ、最も人気のあった1980年代前半のメンバーは、ニール・ドーティ(Key)、ゲイリー・リッチラス(G)、アラン・グラッツァー(Ds)、ケヴィン・クローニン(Vo)、ブルース・ホール(B)の5人、テクニック的にも、音楽的にも、このメンバーがベストと言われています。特にヴォーカルのケヴィンの個性的な声とポップセンス、ギターのゲイリー・リッチラスの、これぞレスポール!という豊かで厚みのあるハードなギターサウンドは、REOスピードワゴンの音楽性の基盤になりました。元々ポップセンスに優れたケヴィン・クローニンの曲をゲイリー・リッチラスのハードロック的なサウンドでアレンジするというスタイルが、多くのファンに人気がありましたが、歌を中心に曲をアレンジしたいケヴィンと、ハードロック的なプレイが持ち味のゲイリーは、音楽的に対立する事が多かったようです。そのせいでしょうか、現在、ゲイリー・リッチラスは、バンドに参加していません。彼のコンサート会場全体を震わせるような、強烈なギターを聴けないのは、とても残念です。
ライブ演奏では、ヴォーカルのケヴィン・クローニンがギター、キーボードを演奏できるので、音の厚みを失わず、アルバムに収録されているアレンジを忠実に再現、年間300本というハードな演奏活動で磨きぬかれた演奏力には定評があり、ライブバンドとして、今でも活躍中です。