初期ボブ・ディランの傑作！

　１９６３年のボブ・ディランのセカンドアルバム。このアルバムに収録されている『風に吹かれて』が、プロテスト・ソングの代表的な曲として受け入れられ、ボブ・ディランの存在を世界に知らしめた名盤です。アメリカのヒットチャートでは最高位２２位、イギリスではヒットチャートの１位を記録しています。かなり有名なアルバムジャケットなので、このアルバムを聴いた事がなくても、ジャケットだけは知っているという方も多いと思いますが、このジャケットにボブ・ディランと共に写っている女性は、当時のボブ・ディランの恋人スーズ・ロトロ。彼女は、当時ボブ・ディランの思想などに大きな影響を与えたいたようです。

　シンガーソングライターとしてのボブ・ディランの才能が１００％開花したような名曲が揃った名盤です。『風に吹かれて』『北国の少女』『はげしい雨が降る』など、初期のボブ・ディランの代表作が収録され初期のボブ・ディランのアルバムの中でも特に有名なアルバムです。『風に吹かれて』『戦争の親玉』『第３次世界大戦を語るブルース』などプロテスト・ソングとして評価される曲が多いですが、『北国の少女』『コリーナ・コリーナ』などシンプルなラブソングには、フォークの神様として崇められるボブ・ディランではなく、一人の人間としての感情が感じられ強く印象に残ります。名盤には間違いありませんが、この作品はフォークアルバムで、ボブ・ディランのヴォーカル、ギター、ハーモニカをメインにレコーディングされている為、音が薄くスカスカのアレンジ、演奏で寒々しい印象があります。真夏に聴くと風鈴のような清涼感がありますが、ロックらしいドラムとベースのリズムセクションはほとんど無く、ロックの名盤として期待すると大ハズレになります。ボブ・ディランのヴォーカルと、彼の詩の世界をシンプルなアコースティックのアレンジでじっくりと楽しむというタイプのアルバムです。

 

　私の部屋には、このアルバムジャケットがずっと飾ってあります。アルバムの内容も素晴らしいのですが、雪の積もった街を寒そうな顔で、腕にしがみつくようにして歩くアートワークは、男性にとっては理想の恋愛の形で憧れです。私の友人の中にも、このジャケットが好きだというだけで、ほとんど聴きもせず購入する人間が多く、ロックファンの男性には圧倒的な支持を得ています。このアルバムの内容が好きなファンには怒られそうですが、正直なところ、このジャケットだけでも価値があると思います。昔バンドをやっていた頃、私の部屋は溜まり場になっていたのですが、このアルバムジャケットが私の部屋のイメージとして定着していたらしく、たまに模様替えでこのジャケットを外すと、『お前の部屋には絶対にこのアルバムが無ければいけない！』と友人から怒られた思い出があります。多分、このアルバムは死ぬまで部屋に飾り続けると思います。

　

 

 

　北国に住む昔の恋人に想いを馳せるという歌詞ですが、この曲も『風に吹かれて』と同様に有名な曲で、多くのアーティストにカヴァーされています。雪の積もる街で、白い息を吐きながら懸命に働いている少女のイメージが浮かんできて何度聴いても泣けてきます。

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映画『バニラ・スカイ』でも

　このアルバムジャケットは、ロックファンにとっては伝説的な名ジャケットで有名ですが、キャメロン・クロウ監督の映画『バニラ・スカイ』でも理想の恋愛のイメージとして使われています。キャメロン・クロウ監督は、音楽評論家としても有名なので、多くのロックファンと同様に、このアルバムジャケットのイメージには特別な思い入れがあるようです。

 

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