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最も暖かいアルバム

　８０年代、商業的なロックの全盛期であり、アコースティック系のアーティストや、ブルース系のアーティストが、置いてけぼりを食ったような時代に発売されたジャクソン･ブラウンの６枚目のアルバム。時代に取り残されないようにシンセサイザーや、ディスコビートを取り入れたアルバムになっているので、初期のジャクソン･ブラウンのファンには、評価がイマイチですが、決定的な変化は、サウンド面だけではなく、前作までは、どちらかというと、自分の行動すらも、客観的な視点でシニカルに見ていたような作風から、感情をむき出しにしたような、生身の人間の暖かさが感じられる作品が多くなったことだと思います。オレンジ色の背景が、その変化を象徴しているようなオーラに包まれているようです。また、このアルバムのクレジットの最後に、『このアルバムをリンに捧げる』という言葉が記載されていますが、当時の恋人、リン･スウィニーという女性に対する愛情が感じられます。本当に愛していた女性に対する感情がアルバム全体を暖かいものにしているのかもしれません。意外なことに、このアルバムがジャクソン･ブラウンが、初の全米ナンバー１を獲得したアルバムでもあります。

このヤロー！

『レイト･フォー･ザ･スカイ』のダメージが大きかった為、ジャクソン･ブラウンのアルバムは買わないようにしていたのですが、輸入盤の値段が安かったことと、不思議な暖かみのあるジャケットに引き寄せられて、恐る恐る購入しましたが、最後まで聴き終ると、誰もいない一人きりの部屋で、このセリフを怒鳴っていました。コノヤローの次は、バカタレ、アホタレ、このスケコマシ、ありとあらゆる悪態をつきました。アルバムのエンディング曲『ホールド・オン・ホールド・アウト 』の間奏部分のセリフ『ＢＵＴ・・・Ｉ　ＬＯＶＥ　ＹＯＵ』を聴いたときに、不覚にも涙がこぼれてしまったのです。若い頃は、今のように涙もろいわけではありませんでしたし、音楽を聴いて泣いたことなどなかったのに、この一言だけで泣かされてしまったのです。しかも、もてない男の敵、プレイボーイのジャクソン･ブラウンに・・・。これはムカつきますよ。で、このヤローと怒鳴ってしまったんです。楽曲の良さ、これもあります。人生の浮き沈みを、リズミカルに表現したようなピアノ、優しくゆらゆらと舞うようなスライドギター、人生を後ろから後押ししてくれるようなコーラス、そしてジャクソン･ブラウンの悲しげなヴォーカル。特に哀願するような、しがみつくような情けなさに満ちた『ＢＵＴ・・・Ｉ　ＬＯＶＥ　ＹＯＵ』のセリフは、共感するというよりは、あまりに哀れで、全てを許したくなるような、仏様のような気分になってしまいます。ジャクソン･ブラウンってプレイボーイって言われてるけど、結構イイ奴だな、この曲を聴いてから、彼への見方も変わりました。

■　オブ・ミッシング・パーソンズ 　■

この曲アルバムが発売になる前に、リトル･フィートのメンバーであり、ジャクソン･ブラウンの親友、ローウェル･ジョージが、亡くなってしまいました。この曲は、ローウェル・ジョージの息子に捧げられています。今は亡き父親が、いかに偉大な人であったかを讃え、残された遺族に対しての敬意、愛情が伝わってくる名曲だと思います。今は『ホールド･オン・ホールド･アウト』を聴いても泣かなくなりましたが、この曲だけは、いまだにダメです。死んだ友人を思い出してしまい、何度聴いても、泣けてきます。

やっぱり国内盤

　英語の分かる方は問題ありませんが、英語が苦手な方は、対訳付きの国内盤がオススメです。イーグルス、ボブ･ディラン、ニール・ヤング、ブルース･スプリングスティーンなどのアーティストもですが、歌詞の内容が素晴らしいアーティストのアルバムは、詩を味わいながら聴くと曲の良さが２倍にも３倍にもなりますね。

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ジャクソン・ブラウン・ファースト

レイト・フォー・ザ・スカイ

プリテンダー

孤独なランナー

ホールド・アウト

ライヴズ・イン・ザ・バランス

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