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エヴリン
 
EVELYN

●監督
ブルース・ベレスフォード

●キャスト
ピアース・ブロスナン
エイダン・クイン
ジュリアナ・マーグリーズ

■ ストーリー ■


 1950年代、アイルランド。3人の子供を持つデズモンド・ドイルは、失業した上に、妻に逃げられてしまい、福祉局に、子供を養う能力が無いと判断されてしまった為、彼の子供たちは、アイルランドの法律によって、カトリック教会の孤児院で育てられる事になる。失業中の上に大酒のみのデズモンドだったが、何とか子供たちを取り戻そうとマジメに働きはじめ、国を相手に裁判を起こすのだが・・・。

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■ レビュー ■

 

 2002年、アメリカ・イギリス・アイルランド・ドイツ・オランダ合作。監督は『ドライビング・MISS・デイジー』などのブルース・ベレスフォード、出演は、 『トーマス・クラウン・アフェア』『マンマ・ミーア!』などのピアース・ブロスナン、『レジェンド・オブ・フォール・果てしなき想い』『ミッション』のエイダン・クインなど。アイルランドでの実話を元に、家族の愛情を描いた感動作。

 日本未公開作品ですが、実話を元に、主演のピアース・ブロスナンが自ら製作にも参加した意欲作で、家族の愛情を描いた名作です。1950年代のアイルランドでは、経済力の無い親は、子供を育てる能力が無いと見なされ、子供たちは強制的にカトリック教会の施設へ収容されるという家族法があり、教会のシスターたちに育てられ、不況のため、国の半数の子供が施設暮らしを強いられていました。主人公のデズモンド・ドイルは大酒飲みのだらしない父親で失業中、絵に描いたようなダメ親父ですが、どうしても愛する子供たちと一緒に暮らしたいと願い、生活態度を改め、周囲の人々の協力によって、国を相手に訴訟を起こします。子供に対するドイルの愛情、子供たちの健気な姿も感動的ですが、勝ち目の無い戦いと分っていても、ドイルに協力してくれる弁護士の心意気も胸を熱くしてくれます。さらに、一人の女性をめぐって三角関係になっているにも関わらず、友情を育んでいくドイルと弁護士の関係にも感心させられます。1950年代が舞台で、親子の感情を無視した古い法律を変えようとする父親の物語なので、古めかしく地味な作品ですが、親子の愛情、男同士の友情、恋愛など感動的な内容に、気の利いたユーモアが多く、笑って泣ける作品なので、絶対にオススメの作品です。残念ながら日本未公開で、国内盤のDVDも発売されていませんが、スカパーやWOWWOWなどで放送されているので、チェックしてみてはいかがでしょうか?

 本当に最高の作品だと思いますが、日本未公開。私は、スカパーの放送を録画したので観る事ができましたが、現在、国内盤DVDも未発売で、スカパーやWOWWOWなどで放送でのみ鑑賞可能です。配給会社も仕事なので、もうからない作品とは契約しないのは仕方がありませんが、こんな作品がヒットしない、受け入れられないと考えているなら、日本人の感性が心配になります。親子の愛情を描いた感動作はヒットが見込めず、エゴ丸出しのサクセスストーリーや深みの無い恋愛映画ばかりがヒットするようだと、日本人の人間性が低下しているのかな?と心配になります。日本未公開作品でも、後にDVD化されることもあるので、DVD化を期待して待つしかなさそうです。

天使の光線

 木漏れ日の光は、助けてあげるという天使の約束のしるし・・・。おじいちゃんがエヴリンに天使の光線の意味を教えてくれます。何かを見たときに、自分は守られている、目に見えない存在に助けられていると感じられれば心強いですよね。背後霊、守護霊というと、ちょっと怖いような気もしますが、亡くなった友人や身内など親しい人が天使になって見守ってくれていたらありがたいですね。

罪を犯した人も赦してあげなくちゃ

 エヴリンの母親は、家族を捨てて男と逃げてしまい、残された家族は激怒、おじいちゃんは、母親が熱い地獄へ行くと断言しますが、エヴリンは、そんな母親に対しても広い心で赦そうとします。怒りに身を任せて悪意を持ってしまう大人が、まだ幼いエヴリンに寛大な心を教えられます。

子供のためなら、何でもするだろう

 ドイルは、だらしない父親ですが、子供たちを愛し何よりも子供たちの事を優先しています。そんなドイルの言葉にアメリカからやってきた弁護士は心を動かされ、彼に協力する事になります。強い愛、信念は人の心を動かします。


 

名シーン

真実と正義が栄えますように

 法廷で証言するドイルの娘エブリンのお祈りのシーンが最高です。木漏れ日の光を見て、おじいちゃんがそばにいることを感じたエブリンは、自分の祈りの言葉を法廷で紹介しますが、法廷に集まった人々、ラジオで中継を聞いている人に、希望と感動を与えてくれます。何度観ても泣ける名場面です。

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ガイド

実話の映画化

 1950年代のアイルランドの古い法律に対して訴えを起こした父親の物語で、貧しくとも親子が一緒に暮らせるようになった歴史的な裁判が描かれた感動的な作品ですが、ちょっと、複雑な気持ちにもなります。日本でも親の虐待による事件が多くなり、子供の安全が憂慮されている時代なので、ある程度は、国の機関による子供の保護も必要な気がします。この作品の主人公デズモンド・ボイルのような親が多ければ、そんな心配も必要ないのでしょうが・・・。

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