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The Mission

●監督
ローランド・ジョフィ

●キャスト
ロバート・デ・ニーロ
ジェレミー・アイアンズ
エイダン・クイン

●度カンヌ国際映画祭グランプリ、アカデミー撮影賞、ゴールデングローブ賞脚本賞受賞

■ ストーリー ■

 
 1750年、南米、イグアスの滝の上流に、宣教師のガブリエル神父が布教にやってきた。プライドの高いグアラニー族の布教は難しく、前任の神父たちは、何度も布教に失敗していたが、ガブリエル神父は、グアラニー族に信頼され、理想郷のような都市を築き布教に成功していた。一方、グアラニー族などのインディオを奴隷として売買していた傭兵のメンドーサは、恋愛関係のもつれから、自分の弟を殺してしまい、罪悪感から廃人のようになり、牢獄で死を待っていた。ガブリエル神父の提案でグアラニー族の村で働くようになったメンドーサは、キリスト教徒として帰依し、グアラニー族と共に生活をはじめるが、植民地支配されていたグアラニー族は、スペイン・ポルトガル両国の政治的な圧力で、住居を放棄し移動するように命令されてしまう・・・。

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■ レビュー ■


 1986年イギリス作品。監督は、『キリング・フィールド』のローランド・ジョフィ、出演は、『ゴッドファーザーPARTU』『ミッドナイト・ラン』などの ロバート・デ・ニーロ、『タイムマシン』『魅せられて』などのジェレミー・アイアンズ、『レジェンド・オブ・フォール』『妹の恋人』などのエイダン・クインなど。実話をベースに、南米の先住民グアラニー族へのキリスト教布教に従事する宣教師たちの生き方、政治権力に支配され、翻弄されるグアラニー族の運命を描いたドラマ。

 正直なところ、1987年に日本で公開されたときには、まだ、この作品の素晴らしさが理解できませんでした。 ロバート・デ・ニーロが主演、監督が『キリング・フィールド』のローランド・ジョフィという事で期待しましたが、当時の私は、植民地支配による政治的な圧力や、イエズス会という宗教団体ですら政治と大きく関係していたという知識が無く、巨大な権力に支配され翻弄される植民地の人々の苦しみなどにもリアリティが感じられなかった為ですが、歳を重ねて人並みの知識が身についてから観ると、権力者による支配の残虐性や、迫害される人間の苦しみなどが身に沁みて感じられ、信仰について、愛についてというテーマについても、深く感じられるようになり、カンヌ映画祭グランプリにふさわしい傑作だということが実感できるようになりました。植民地を支配する国の横暴な政治と利害関係、法を破って私服を肥やす統治者の悪政、信者が天国を信じなくなってしまう事を危惧し、宣教師の活動を制限しようとするイエズス会の指導者の思惑など、現実の世界の腐敗が描かれているので、歴史の一部を学べる社会派のドラマとして興味深い作品ですし、宣教師とグアラニー族が創り上げた理想郷のような美しい村の風景は、勤勉な民族が、信仰心と愛を持って生活すれば、理想郷は実現可能なんじゃないか?と、感じさせてくれます。また、聖書に書かれている愛についての言葉が朗読されるシーンは、人生観が変わってしまうほどの深い感動を与えてくれます。そして、暴力に対して一切抵抗しないガブリエル神父と、自分の傭兵としての経験を生かして抵抗する元傭兵のメンドーサの姿は、暴力に対してどう対応するのか?という重いテーマが感じられ、キリスト教徒の方にとっては、かなり考えさせられるテーマだと思います。弾圧されて苦しむ神父やグアラニー族の姿を観るのはツライですが、キリスト教徒でなくても、深い感動に身を浸せる名作で、キリスト教をテーマにした映画の中では、最高傑作の一つと言えるでしょう。ただ、娯楽作品として考えると、テーマが重過ぎるので、感動よりも娯楽作品を楽しみたいという方には向かないかもしれません。

我々が仕えるのは民主主義ではなく神だ

 神に仕える身である宣教師たちにも国籍がありますが、ガブリエルは、祖国の命令と言えど、神の教えに背くような行為をすることを拒みます。キリスト教に限らず、国の体制によって宗教が弾圧され、信仰に生きて殺されるか、信仰を捨てて生き延びるかという選択を迫られる事もありますが、もし天国があるならば、信仰を捨てなかった人たちの方が、天国にふさわしいような気がします。

力が正しいのなら、この世に愛は必要なくなる

 キリストの教えを守り、最後まで非暴力を訴えるガブリエル神父が、絶望的な言葉を口にします。もし暴力による支配が正しいのなら、『わたしは、そんな世では暮らせない』とつぶやくガブリエル神父の姿が、現実の残酷さを象徴しているような気がします。今の時代に生きている人でも、このガブリエル神父の言葉に共感を持てる人は、多いのではないでしょうか?


メンドーサとグアラニー族の再会

 ガブリエル神父に連れられて村を訪れたメンドーサを見て、グアラニー族の人々は騒然とします。奴隷証人として生活していたメンドーサは、グアラニー族の人間も奴隷として扱っていたので、グアラニー族にとっては敵も同然、緊張感が頂点に達しますが、意外な展開にメンドーサは泣き崩れます。罪悪感に苦しみ、自分を戒めてきたメンドーサが、やっと罪悪感の鎖から開放されるシーンが感動的です。

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音楽はエンニオ・モリコーネ

 『1900年』『天国の日々』『マレーナ』『海の上のピアニスト』などなど、数々の名作の音楽を手がけているエンニオ・モリコーネが音楽を担当しています。どの作品の音楽も素晴らしいですが、この作品の音楽は、名曲の多いエンニオ・モリコーネの作品の中でも、彼の代表作と言われていて、発売されているサウンドトラックも評価が高く、癒し系のアルバムとして最高の仕上がりになっています。DVDはすぐに廃盤になってしまいましたが、このアルバムは、人気が高く、今でも発売されています。

 

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