美術館からモネの名画が盗まれてしまい、保険会社からキャサリン・バニングという調査員が派遣される。ニューヨーク署のマッキャン警部ともに捜査を開始したキャサリンは、クラウン投資会社の社長であり大富豪のトーマス・クラウンが犯人だと推理し、キャサリンは色仕掛けでクラウンをデートに誘い出し、彼の邸宅からモネの絵画を発見するのだが・・・。

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　１９９９年アメリカ作品。監督は『ダイ・ハード』『レッド・オクトーバーを追え！』などのジョン・マクティアナン、出演は『エヴリン』『めぐり逢い』などのピアース・ブロスナン、『リーサル・ウェポン４』『アウトブレイク』などのレネ・ルッソ。趣味で名画を盗み出した大富豪と、女性捜査官のかけ引きを描いたラブ・サスペンス、スティーブ・マックイーン主演の名作『華麗なる賭け』のリメイク作品。

　大富豪が遊び半分で名画を盗み出すという、ふざけた話ですが、主人公のトーマス・クラウンの富豪ぶりは豪快で、セレブが主人公の作品にありがちな、一人よがりで甘ったれたイヤラシさが無く、オシャレでスタイリッシュな生活が、自然に描かれています。また、大富豪になっても当たり前と思えるビジネスマンとしての手腕や、遊び、服、美術品の趣味などのセンスの良さが作品の芸術性を高め、主演のピアース・ブロスナンとレネ・ルッソのセレブらしい存在感にも魅力があります。とにかく、遊びのスケールが大きくて痛快です。スリルの為に高価なヨットを壊し、エアロプレインで空の散歩を楽しみ、南国の別荘で休暇を楽しむ、そして、スリルと自分の美意識を満足させる為にモネの名画を盗み出す・・・、こういった大富豪ならではのケタ違いの遊びが、うらやましく思うと言うよりは笑ってしまえるほど痛快です。また、センスのいいオシャレなファッション、粋な会話、ちょっとコミカルで洗練された音楽も芸術的と言えるほどの魅力があり、娯楽作品として最上級の仕上がりになっています。ラブシーンでは、レネ・ルッソのヌードが楽しめるというオマケもあり、レネ・ルッソのファンの方には見逃せない作品でしょう。『華麗なる賭け』のリメイク作品ですが、オリジナルよりも明るい作品で、賭けの代償など深遠なテーマは無く、感動的な作品とは言えませんが、娯楽作品として考えれば、文句の付けようが無い名作です。

手中の宝に気づかない

　トーマス・クラウンは投資会社経営を成功させ、経済的には何不自由の無い生活をしていますが、恋愛の対象が、自分を捜査している調査員。自分の利益を守るのか、それとも愛を取るのか？良くあるテーマですが、自分にとって何が一番大切なのかという事に気づくかどうかが問題なのかもしれませんね。失ってから、やっと気づくという事も多いと思います。

オリジナルは『華麗なる賭け』

　この作品のオリジナルは、スティーブ・マックイーン、フェイ・ダナウェイ主演の１９６８年度作品『華麗なる賭け』。クラッシック系の映画が好きな方にはオススメですが、１９６０年代の作品なので、今観ると、やはり古さを感じます。この作品に、オリジナル作品に出演していたフェイ・ダナウェイ が出演しています。

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