２００９年、致死率９０％という新種のウイルスの蔓延によって人類の９０％が死亡し、生き残った人類も変異したウイルスによって凶暴化して人間を襲い、人類は絶滅の危機に瀕していた。ニューヨークで唯一生き残った科学者のロバート・ネビルは、愛犬のサムと孤独な生活を続け、ウイルスに対する血清を作ろうと研究を重ねていたが、ある日、愛犬のサムがウイルス感染者に襲われてしまい・・・。

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　監督は『コンスタンティン』のフランシス・ローレンス 、主演は、 『メン・イン・ブラック』『エネミー・オブ・アメリカ』などのウィル・スミス。近未来、殺人ウィルスによって絶滅の危機に瀕した人類を救おうとする科学者の姿を描いたＳＦ作品。

　ウイルスに感染した人間が、凶暴化して人間を襲うというストーリーなので、ゾンビ系の映画というジャンル分けもできますが、他のゾンビ映画と決定的に違うのは、この作品の主人公が、ゾンビ化した人間と戦うだけでなく、ウイルスに対する血清を開発する事によって問題を解決しようとしている点で、よくあるゾンビ系のホラー映画とは違い、観終わった後に感動の残る作品になっています。無人化したマンハッタンで孤独な生活を続ける主人公ネビルを演じるウィル・スミスの演技は、ウィル・スミスのキャリアの中でもベストな演技と絶賛され、演技派の俳優として高い評価を得る事になり、雑草が生い茂り廃墟となったマンハッタンの映像も見事です。作品の大半が、主人公のネビルと愛犬サムだけしか登場しないという特殊なストーリー展開ですが、ウイルスの蔓延によってパニックに陥り、軍の管理の下で厳戒態勢になっているシーンがうまく挿入されているので、飽きずに最後まで観ることができます。また、伝説的なロック・ミュージシャンであるボブ・マーリーのエピソードを紹介するシーンや、映画のエンドロールで流れるボブ・マーリーの曲には、強いメッセージ性が感じられ、ボブ・マーリーのメッセージを感じられるというだけでも価値のある映画だと思います。唯一の難点としては、ウイルスに感染しゾンビのようになってしまった人間がマネキンのような表情で迫力に欠け、恐怖を感じない点です。『２８日後・・・』のようなリアルな描写でゾンビを描けば、もっと切迫した緊張感、恐怖を感じられる作品になったかもしれません。

闇を光で照らそう

　偉大なロックミュージシャン、ボブ・マーリーのエピソードが紹介されています。世の中の多くの問題の根源である差別や憎しみを、音楽による癒しでなく無くそうとしたボブ・マーリーの遺志を継いで行こうというメッセージが感動的です。映画のエンディングで流れるボブ・マーリーの名曲には、涙が止まらなくなります。

 

サムとの別れ

　無人化したマンハッタンで唯一のパートナーとして生活していたサムが、ウイルスに感染してしまい、愛犬と分かれるシーン。最愛のパートナーを自分の手で殺さなければならないネビルの苦悩、悲しみが痛いほど伝わってきます。

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