弁護士のディーンは、妻カーラと息子エリックと３人で幸せに暮らしていた。ある日、大学時代の同級生ザヴィッツに偶然再会、ザヴィッツはディーンの荷物に、こっそり映像ファイルを隠すが、そのファイルには、ＮＳＡ（国家安全保障局）のレイノルズが、テロ防止法案に反対する下院議員を殺害している場面が写っていた。映像ファイルが自分の荷物に紛れ込んでいる事を知らないディーンは、理由も分らないままＮＳＡに追われＮＳＡの圧力によって失業し、逃亡をはじめる・・・。

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　１９９８年アメリカ作品。監督は『トゥルー・ロマンス』『マイ・ボディガード』『デジャヴ』などのトニー・スコット。主演は、『メン・イン・ブラック』『ハンコック』『アイ・アム・レジェンド』などに出演し、今やハリウッド一の売れっ子黒人俳優のウィル・スミス。ＮＳＡによる監視社会の実態を、スピーディーなアクションと、軽快なユーモアで描くアクション映画の傑作。

　まずＮＳＡの諜報技術が衝撃的です。軍事用のコンピュータがこんなに進んでいるのか？と驚き、恐ろしくなりました。さらにアクション映画としての迫力と、ウィル・スミスのユーモアたっぷりのキャラクターが、政治的な陰謀という暗いテーマを感じさせない快作にしています。トニー・スコット監督の絵画的で、浮世離れしたアクション映像も映画に強烈なインパクトを与えています。また、『ザ・エージェント』などにも出演しているレジーナ・キングと、ウィル・スミスの夫婦役が絶妙で、この二人のユーモアによって、ストーリーの暗さを引きずらずに最後まで楽しめます。

監視社会

　近年、日本でも、街頭の監視カメラ、ＡＴＭのカメラやコンビニのカメラなど、多くのカメラに監視されています。この作品の中で登場する監視システムは、映画製作時でも１０年から１５年は遅れているシステムだと言われていて、現在のシステムは、もっと進化しているようです。この作品の中で出てくるようなシステムを使えば、電話での会話、メールの内容の傍受は勿論、ウェブカメラなどを使用している方は、室内の映像まで全て他者に知られる危険性があるわけです。しかも、最近ではコンセントを通じて情報を送る技術も発達しているわけですから、個人の情報がコンピュータ、家電から外部に漏れるという社会が現実のものになっているのかもしれません。軍事利用される技術は、一般の家電などに使われている技術よりはるかに進んでいるので、まぁ悪いことはしていないんで、私はいいんですけど、プライバシーを考えると、もう気軽にウェブカメラも使えませんね。

利口なのか、バカなのか？

　情報屋のブリルが、ＮＳＡに追われる弁護士のディーンに向かって言うセリフですが、ディーンが考えた計画でマフィアとＮＳＡがお互いに誤解して対立してしまいます。トニー・スコット監督が得意とする銃撃シーンの幕開けとなるシーンが、ユーモアに満ちていて笑えます。

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