１９００年、ヨーロッパからの移民たちをアメリカに運ぶ客船ヴァージニアン号で、機関士ダニーは、ピアノの上に置き去りにされた赤ん坊を見つける。ダニーはその子を、生まれた年にちなんで１９００(ナインティーン・ハンドレッド)と名付け、実の子供のように大切に育てるが、１９００年が幼いうちに事故で死んでしまう。しかし、１９００は、船で働く人々によって育てられ、船で演奏されるバンドの演奏を聴くうちに、ピアニストとしての天才的な才能を開花させせ、船のピアニストとしてバンドに参加して生活するようになる。その天才的な才能の噂を聞きつけ、ジャズピアニストと競演したり、レコード会社からスカウトされるようになるが、船で生まれて船での生活しかしらない１９００は、決して船を降りようとしなかった。だが、アメリカへの移民の娘に一目ぼれしてしまい・・・。

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　１９９９年、アメリカ、イタリア合作、監督は『ニュー・シネマ・パラダイス』『マレーナ』などのジュゼッペ・トルナトーレ 。主演は、『パルプ・フィクション』などのティム・ロス。客船で生まれた天才ピアニストの生涯を描いた感動作。アメリカとイタリアの合作で、『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ監督作品なので、イタリア映画らしい郷愁に満ちた作品でありながら、アメリカ映画的な洗練された映像で、現代的で見やすい映像に仕上がっています。

　ジュゼッペ・トルナトーレ監督らしい、過去に想いを残してしまう人間の性を描いた秀作です。主人公がピアニストという事で、ジャズピアニストとのバトルなどの見所もありますが、主人公の恋愛や、友情、宿命についての切ないドラマが心に残ります。『陸の人生は、そんなにいいものなのか？』という主人公の疑問には、明確な答えが出せず戸惑ってしまいます。友人のトランペット奏者は、船を降りるように説得しますが１９００は、悩みます。主人公の１９００にとっては、船が故郷であり、世界の全て、そこで生まれ死ぬことを本人が望むなら、それが一番の幸せなのかもしれません。この作品のエンディングには、落胆する人、共感できる人が、ハッキリと分かれると思います。このエンディングの感じ方によって作品の価値が違ってしまうと思いますが、『ニュー・シネマ・パラダイス』などの作品が好きな方にとっては、かなり魅力的な作品だと思います。

悪運に打ち勝ったやろうと

　イタリアからアメリカへ向かう移民の一人が１９００に声をかけます。妻に逃げられ、病気で子供を失った男は、自分の人生を変えようとアメリカ行きを決意し船に乗っていました。希望を胸に、自ら新しい人生を切り拓こうとする男の言葉は、全ての移民の気持ちを代弁しているように聞こえます。

音楽はエンニオ・モリコーネとロジャー・ウォータース

　『天国の日々』『アンタッチャブル』『ニュー・シネマ・パラダイス』などの音楽を担当し、映画音楽ファンなら知らない人はいないというほどの有名作曲家エンニオ・モリコーネが、音楽を担当していますが、共同で、イギリスのロック・バンド、ピンク・フロイドのメンバーだったロジャー・ウォータースが音楽を担当しています。ピアニストが主人公の作品なので、音楽が重要な役割を担っていますが、サウンドトラックアルバムも評価が高く、名盤になっています。

 

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