火星探査機カプリコン１に搭乗する宇宙飛行士３人が、ロケット発射直前に呼び出されてロケットから下ろされた。宇宙開発事業費を削減され、危機感を持ったアメリカ航空宇宙局ＮＡＳＡの首脳陣が、カプリコン１による宇宙探査の失敗を恐れ、火星探査が成功したように見せる為、廃墟となった軍事施設で撮影用のセットで火星に到着した映像を放送しようと考えての事だった。３人の宇宙飛行士は、脅迫されて撮影に協力するが、自分たちが殺される事を察知して逃亡するのだが・・・。

●画像安定装置の使い方

　１９７７年イギリス作品。監督は『アウトランド』のピーター・ハイアムズ、出演は、『ロング･グッドバイ』のエリオット･グールド、『キリング･フィールド』のサム･ウォーター･ストーンなど。遺伝子解析によって人生が決定してしまう近未来を舞台に、自分の運命を、切り開こうとする青年の人生を描いたＳＦ作品。

　古い作品ですが、サスペンス映画として、アクション映画として、世の中の陰謀についてのヒントを与えてくれる作品として楽しめる名作です。１９７０年代の作品なので、映像的なリアリティは最近の作品には負けますが、スリリングな展開、軍用ヘリを上手く使った追跡シーンの迫力などは素晴らしい仕上がりで、フィクションでありながら、現実にもありそうな陰謀、世の中の仕組みを教えてくれるストーリーは、近年の作品には無い世の中の腐敗に対する反骨精神が感じられます。映像的な古ささえ無視してしまえば、最高級のサスペンス作品として楽しめる作品です。

　陰謀を暴こうとする記者の役でエリオット･グールドが出演していますが、この人は本当にくわえタバコが似合います。典型的なタフガイというタイプではありませんが、男臭いキャラクターとしての魅力は格別なものがあります。禁煙中に、この作品を観て、思わずタバコをくわえてしまいました。

大きな力が、組織が介在してるんだ

　ＮＡＳＡの上層部だけでなく、計画に加担した大きな力を持つ組織の存在も匂わせています。さすがに固有名詞では出てきませんが、アポロ計画などの予算で、どの企業が儲かるのか？その企業のオーナーをしている人物の団体はどこか？と考えれば分かりそうな気がします。

犠牲を糧としました

　なるほど。尊い命が犠牲になると世論が味方して予算が増えるんですね。そういえば、スペースシャトルが爆発した時も、彼らの為にもとか言って予算が増えましたよね。本当に事故なんでしょうか？