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ウワサの真相 ワグ・ザ・ドッグ
 
Wag the Dog

●監督
バリー・レヴィンソン

●キャスト
ロバート・デ・ニーロ
ダスティン・ホフマン
ウィリー・ネルソン
キルスティン・ダンスト
ウディ・ハレルソン

■ ストーリー ■


 再選を狙う現職大統領が、大統領選挙の直前にセックス・スキャンダルを起こしてしまう。このままでは、大統領選に圧倒的に不利と考えた大統領は、スキャンダルを国民の目からそらすためにフィクサー(揉み消し屋)のコンラッド・ブリーンを呼び、情報を操作するように依頼する。コンラッドは、アルバニアとの架空の戦争をデッチ上げ、戦争が現実であるかのように国民に信じさせるために、ハリウッドの有名プロデューサーであるスタンリー・モッツに演出を依頼する。モッツは、最新の映像技術や、無名な俳優を起用してニュースを作り上げ、アルバニアとアメリカの戦争が連日報道されるようになるのだが・・・。

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■ レビュー ■

 

 1997年アメリカ作品。監督は『グッドモーニング・ベトナム』『レインマン』などのバリー・レヴィンソン、出演は、 『ゴッドファーザーPARTU』『俺たちは天使じゃない』の ロバート・デ・ニーロと、『卒業』『ハッカビーズ』のダスティン・ホフマン、『エリザベス・タウン』『チアーズ!』の キルスティン・ダンスト、『ナチュラル・ボーン・キラー』『心の指紋』のウディ・ハレルソン、カントリー・シンガーとして有名なウィリー・ネルソンなど。スキャンダルを隠して選挙戦を有利に戦おうとする大統領の為に暗躍するフィクサーと、彼に協力する映画プロデューサーを描いた社会派ドラマ。

  ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマンの共演で話題になった作品ですが、権力者によって情報が操作されている世の中の現状を描いた社会派作品なので、娯楽性が弱く、一般的にはマイナーな作品です。やはり、主演の二人の存在感は圧倒的で、情報を影で操作する冷静なフィクサー、虚栄心に満ちたプロデューサーという、それぞれのキャラクターのインパクトが強く、出番は少ないものの、 キルスティン・ダンスト、ウディ・ハレルソンなど個性的な俳優の魅力も生かされていて、シリアスなテーマをコメディタッチで楽しめる秀作です。映像的には、現実味のある生々しい映像ではなく、昔のホームコメディを思わせるような明るい映像で、リアリティはありませんが、事件を捏造し、情報操作をする裏社会をテーマにした作品なので、シリアスになり過ぎないように工夫されているのかもしれません。世界に報道される歴史的な事件が、実は演出されたものだったという衝撃的な内容で、一応コメディタッチで描かれていてますが、シニカルなユーモアが多く爆笑コメディというタイプではないので、世の中の裏側を知りたいという好奇心が無い方、政治や情報操作といったテーマに興味が無い方にとっては、ちょっと退屈かもしれません。

あれも演出だったの?

 レーガン政権時の事件や、湾岸戦争などを例に挙げて、世界で報道されている事件が、全て真実では無いという事が紹介されていますが、古くはアポロ計画での月面着陸の映像がスタジオで撮影されたという疑惑もあり、映画スタジオで撮影され合成された映像が、歴史的な事実として記録され、人々の記憶に残ってしまうという事例も多いのかもしれません。権力者が、自分に都合のいいように歴史を作ってしまっているというのは、昔から変わらないのかもしれませんが・・・。

これくらい何だ、なんでもない

 予想外のトラブルの連続で、演出を続けるのが難しくなる映画プロデューサーのモッツですが、決して諦めません。映画プロデューサーと言えば、出演者のトラブルや、制作費の捻出、撮影現場の事故など様々なトラブルを経験してきているので、大きなトラブルには慣れているらしく、発想を切り替えて乗り越えていきます。考えようによっては、人生にトラブルの多い人は、それだけ経験を積んでたくましくなり、トラブルに直面しても、今までの経験から、そのトラブルを乗り切る術を身につけているのかもしれません。

世界は救えなくても、せめて努力を

 どうせなら、貧困で苦しむ人や、戦争や天災の被害に遭っている人の為に情報操作をしてもらいたいものです。この作品に出てくるような有能なフィクサーや、演出家などが、本気で世界を救おうと努力すれば、世論に大きな影響を与えて、多くの人を救えるような気がします。


 

名シーン

さあ、僕のひざへお座り、お触りはなし

 戦争のイメージソングを作るために呼ばれたミュージシャンが、大統領のスキャンダルをテーマに曲を歌い始め、スタッフの表情が変わるシーンが一番笑えます。どちらかと言うと、ユーモアも政治ネタが多い作品ですが、この場面だけは爆笑できます。

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ガイド

音楽はマーク・ノップラー

 この作品の音楽を担当しているのは、『マネー・フォー・ナッシング』の大ヒットで有名なロックバンド、ダイアー・ストレイツのギタリスト兼ヴォーカリストのマーク・ノップラー。全体的には、ゆったりとした都会的なセンスの曲調で、マーク・ノップラーらしい個性も感じられますが、淡々と任務をこなすフィクサー、大統領関係者、CIAなどの仕事ぶりに以外に合っていて、映画音楽としての完成度も高く、マーク・ノップラーの意外な才能を発見できたような気がします。



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